“アンティークまねきねこ”は、ヨーロッパのアンティーク・ジュエリーとドールの専門店です。
19世紀から20世紀にかけてのアンティークジュエリー、コスチュームアクセサリー、ビスクドール、テディベアなどが勢ぞろい♪ ☆素敵な出会いがありますように☆☆☆

ホーム店長日記2008年10月
2008年10月
店長日記:1
2008年10月27日
時代はさかのぼり、僕がまだ25歳の頃の話・・・

金曜の朝はいつもロンドン最古の蚤の市、バーモンジーアンティークマーケットで朝が始まる。
伝説的な逸話が沢山ある市で、ピカソの絵が10ポンドで出た、ルノワールの原画が100ポンドで出た!?など数多くの掘り出し物が出ることで有名な蚤の市。
インドアに約100店舗、アウトサイドに300店舗以上が並ぶ。
それも真っ暗な時間帯から争奪戦が繰り広げられ、とてもスリリングな市で僕は一番好きな市だ。
なので懐中電灯無しでは商売にならない。

いつものようにホテルを4時に出る。
タクシーをつかまえて行き先を伝える。「バーモンジーアンティークマーケットへ」、すぐさま「パードゥン?」と言われ何度言っても通じない。暗くて見えなかったが良く見るとかなり年配のドライバーだ。すぐさま「ニューカレドニアンマーケット」と言い直すと、すぐに通じて出発した。昔はそう言われていたと何かで読んでいたので助かった。

明るくても綺麗な街並みだが、ライトアップされたロンドンの街並みはとても素晴らしい。
大聖堂の横を通るとすぐにテムズ川へ出る。ここの通りはロンドン塔もあり、真っ暗だと少し不気味さもあるが、昔はここに色んな人が幽閉されていたんだとタイムスリップしてロマンに浸れる。
橋を渡りしばらく走るとバーモンジーマーケットが見えてきた。もう数十人の人達が荷物を出している業者を囲んでいるのが見える。懐中電灯の明かりがサーチライトのように飛び交っている。
どんな物が出ているかわからないのに先を越されたーと気が焦る。
タクシーを降りてその人だかりに向かう。
懐中電灯を取り出し大きな身体のイギリス人の隙間に入り込み中をのぞく。
僕は173cmと日本では小さくはないが、190cm近くある人が多いイギリス人の中だとかなり小柄でこんなときは得をする。
するとキラキラと光る大きな馬の額が見えた。
それはまるで黄金の塊でできた今にも走り出しそうな迫力満点の彫刻だ。
すでに左のおじさんが手に持ち値段交渉をしていた。
やっと聞き取るのが慣れてきた英語に耳を立てて話を盗み聞く。
するとこれはゴールドなのか?検査はしたのか?みたいなことを言っている。
店主はヒゲにまみれた、いかにも怪しげな風貌をして、「アイ・ドン・ノー」を連発する。それでもしつこく聞くおじさんに怒りだし、値段が合うなら買えばいいやら、自分で評価しろと喧嘩腰で言い返す。それでも何か言うおじさんに、とうとう我慢も限界になり、ついにどこかへ行け、君には売らない!と切り捨てた。
すると一転しておじさんは、ポケットからお金を出すしぐさをして買うよ、と言うがヒゲ店主はいくら出されても売らないと譲らない。
そして何を言ったかわからないが更に大きい声で怒鳴りつけるとおじさんは退散してしまった。気まずい雰囲気だが僕は黄金の馬に懐中電灯をあてて見とれていると、ヒゲおじさんが、欲しいのか?と聞いてきた。
あわてて、「素晴らしいけど高いんですよね?」と言うと「150ポンドだ」。僕はびっくりして聞き返すとやはり150ポンド(日本円で約3万)だ。
その値段で金かどうかを聞くのもおかしいし、そうでなくても充分すぎるくらい素敵なものだから、おじさんはケチを付けずに買えば良かったのに・・・
そう考えているとヒゲおじさんはイライラしているのでどうする?と僕にもキツイ言葉で聞いてきたので、すかさず買いますといいお金を出した。
大きい物なので、置かしてもらえないかと聞いたら、店主には聞こえず、横でみていたおじさんが、この店は明るくなる頃にはいなくなるからダメだよと、教えてくれた。
昼前ぐらいまで開催しているはずなのに、おかしいなと思いながら重たい黄金の馬を脇に抱えて、その場を立去る。
だがあまりに重たいのでインドアの2年前に仲良くなったアンティークジュエリー店のデービッドの所に駆け寄る。
5時前なのに、いつものハイテンションでおはよう!と声をかけてくれる。
事情を話すと、快く置かしてくれた。
そしてまた暗闇に飛び出て懐中電灯を頼りに周りだすと、薄っすらと青い空になりどんよりとした雲が見えてきた。
まだ暗いが遠くまで見渡せるようになり人も沢山出てきて市がますます活気づく。
すると数人の業者だけ、今からお客さんが増えてくるのにいそいそと、車に荷物を入れて片付け始めていた。
あのヒゲおじさん周辺だ。
僕は頭の中で推理が始まる。きっとあの人達は明るくなると都合が悪いことがあるのかも。
盗品や売ってはいけないものを売っているのではと、妄想が広がる。
するとあの黄金の馬は純金で出来ていて、貴族の屋敷に飾られていたのを、ヒゲおじさん達が盗みに入り市で売りさばいているのかも・・・ともう止まらない。

馬が気になりはじめてソワソワするのでデービッドのところに戻り、新聞紙をはがしデービッドに天眼鏡を借りチェックする。
明るいところでみてもほんとに素晴らしい彫刻だ!
これはすごい掘り出し物を見つけたと、心の中では貴族の屋敷から出た純金の馬だと思い込んでいる。
デービッドも綺麗な馬だねと言ってくれたので、僕は妄想の話をするとデービッドは笑いながら、「あの人達は泥棒軍団ではなくて、出店料を払わないで出てて、店を出す時間が遅い業者の場所で出し、集金の人が来る前に急いで帰るんだよ。」と説明した。
僕が苦笑いしていると「でもこの馬は素晴らしいよ」と声をかけてくれて、僕の妄想物語が終わりを告げ、そうだ僕は惚れ込んで買ったあとに妄想が入り込んで来ておかしくなっただけで、この黄金の馬は素敵な逸品だ!と思いなおす。
妄想協会の会長になろうかと思うほど自分の妄想がばかげてておかしく、だんだ面白くなってきて、気分が良くなってきたのでもう一度外に繰り出す。買い付けは楽しい♪
もうすっかり夜は明けてヒゲおじさんの場所には、セントバーナードを連れたガラス製品を売る人が出ている。あのワンちゃんは朝寝坊しそうな顔をしているな・・・また妄想だ。

つづく


ご無沙汰していましたけど皆さんお元気ですか?
先月も阪急、芦屋大丸、蚤の市、今月も蚤の市と沢山お越しいただいてほんとに嬉しく感謝しています。

買い付け物語りも久しぶりに書けましたが、この中にあるバーモンジーマーケットは今では50件出ればいいほどの小さいマーケットになりました。
インドアのビルも封鎖され去年までのイギリスの土地バブルの建て替えの犠牲と、古いものが少なくなったことが重なり、寂しい限りです・・・

今あるものはいつかは無くなる・・・これは宿命ですが、素敵な思い出はいつまでも黄金の馬の様に心の中でキラキラ光り輝いています☆

それを思うと100年以上の時代を生きてきて今もなお僕たちを喜ばせてくれるアンティーク達はますます愛しく思えてきますね♪

最近僕は演劇の世界に関わる機会があり、それはアンティークと通じるご縁なのですが、ほんとにプロの仕事振りを間近で見て俳優、女優さんの演技の凄さ、メイクや衣装などの裏方さんの手際の早さ、発声練習などの準備の大切さ。
そして演出家の天才的な仕事を裏から見ることが出来て素晴らしい経験ができました♪

一つの世界を作り上げることは凄いことなんだと改めて思い直しました☆

また近いうちにありますので今からワクワクしています♪

そして買い付けと知るひとぞ知るフェアーも近づいてきました☆

今回も料理長、副料理長、音楽会のアーティストの皆さんに頑張っていただきますので、お客様にもきっと喜んでいただけるイベントになると思います☆

音楽会はまたアーティストの方が増えてバラエティーに富んだ内容になりました♪

そしてもちろん新着アンティークたちを連れて帰ってくる役目のぼくも頑張って来ますので、皆さん楽しみにしていて下さい♪

ホームページでもまた紹介できると思いますのでお楽しみに♪

これから日に日に寒くなってきますので皆さん風邪に気をつけてお過ごし下さい☆

それではまたお目にかかるのを心から楽しみにしています☆

妄想会 会長の店長より☆














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