2011年5月の買い付けの話・・・
初めての女性のハンマープライスが始まり、1番のテディベアがあっという間に終わった・・
なかなかテキパキとしている。
最後に叩くハンマーも素晴らしい音をカンッ!と鳴らし次へと進む。
今回は白い貴族の男性は来ていない。
目当てのぬいぐるみがなかったのかな・・
代わりに僕の左横で愛想のない眼鏡のイギリス人が入って来て立っている。
愛想のない主人とは違い、ヒーヒーと声を出して
他の人の気を引こうとしている可愛いワンちゃんがリードでつながれている。
奥の人に必死でアピールして行こうとするが眼鏡の男性は素知らぬ顔で
リードを引っ張っているのでヒーヒーという声が余計に響く。
その姿を見て皆が注目し始めているのに知らん顔でオークションブックを見ている。
何か落とす気で必死で見ているのはわかるが、
静粛なオークションで愛犬が興奮してヒーヒーと鳴いているのに知らん顔とは・・・
抱き上げてあげればすぐに大人しくなるのに・・
そんな騒ぎを気にせずに女性ハンマープライスはオークションを続けている。
僕はすぐ横なので気になって仕方がない。
壁際に立っているので僕の手は届かない・・
届けばさわってあげるのに・・
もどかしい気持ちを持ちながらも、目当てのテディベアの順番が近づいてくる。
そんなもやもやの気持ちでいるところに、さっき地下で取引したリンダが入ってきた。
シーズーはリードにつながれていないので自由に歩いているが
リンダの後ろをきっちりとついてくる。
そして僕に気が付かずに横を素通りして反対側の一番後ろに向かった。
その移動の間は男性の犬は大人しくしていたが、
リンダが座ると、さらに大きな声でヒーヒーとリードを引っ張りながら興奮してきた。
さすがに皆がざわついてきているのに男性は知らん顔・・・
きっとドSに違いない・・・
すると奥へ行ったばかりのリンダがスタスタと歩いてきて、
興奮する犬を抱き上げ、ぎゆーっと抱きしめて、今度は1センチ近い距離で話しかけて大丈夫、と言い聞かしている。
その間もその男性はカタログチェックをしている。
最後に背中をトントンとして下に降ろすと、小さくて可愛い身体を丸めて眠りだした・・
リンダは凄い・・・
催眠術でもかけたのか・・
とにかく興奮していたので、抱っこされただけでも安心したんだろう。
それにしても男性は優しくない・・
2メーター近くある大男だから片手でひょいと持ち上げていれば
こんな風にならないのに、甘やかさないというか周りの迷惑を考えていない・・
その点リンダは優しい。
ホッとしていたら目当てのシュタイフベアの番が来た。
帽子をかぶっていて1920年頃のボタン付きでとてもかわいい。
スタートするが右側で競り合い手を挙げても中に入れない・・
これは無理かも・・とあせってきたけど集中して数字を聞き取る。
まだ僕の範囲内だ!
400ポンドで収まりかけてきた所に大きく右手を挙げる。
女性ハンマープライスがようやく見つけてくれて初めて指を差された。
するとすかさず右側の人が手を挙げ、僕との一騎打ちになった。
まだまだ範囲内なので負けないぞ!とさらに大きく手をあげるとまた向こうも頑張る。
5回ほどの攻防が続きピタッと動きが止まる。
僕の落札価格を繰り返し女性が確認を取るが
誰も異議を言わずにハンマーがカンッ!と音を立てて、
女性が初めて僕に合図を送るので565番の札を見せて成立した・・
何度経験してもこのドキドキは変わらない。
それも今回は横の男性のせいで集中できないところをリンダがワンちゃんを救い、僕も救ってくれた。
波乱の幕開けだけど、男性は相変わらずカタログを見ているし
子犬は足元でリンダの催眠術で深い眠りについている。
さぁ、次は持って帰れなくて落札候補からは外れたけど、シュタイフの店頭ディスプレイハウスだ!
いったいいくらぐらい行くのか・・
どうせならあきらめもつくのでハイプライスになってほしい・・
そう願いながら女性が説明を読み上げる・・シュタイフディスプレイ1960S・・
違う意味でまたドキドキしてきた・・・
続く・・・