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☆アンティーク買い付け物語☆第8話☆

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時代はさかのぼり、僕がまだ25歳の頃の話・・・

金曜の朝はいつもロンドン最古の蚤の市、
バーモンジーアンティークマーケットで朝が始まる。

伝説的な逸話が沢山ある市で、ピカソの絵が10ポンドで出た、
ルノワールの原画が100ポンドで出た!?など
数多くの掘り出し物が出ることで有名な蚤の市。

インドアに約100店舗、アウトサイドに300店舗以上が並ぶ。

それも真っ暗な時間帯から争奪戦が繰り広げられ、
とてもスリリングな市で僕は一番好きな市だ。

なので懐中電灯無しでは商売にならない。

いつものようにホテルを4時に出る。

タクシーをつかまえて行き先を伝える。
「バーモンジーアンティークマーケットへ」、
すぐさま「パードゥン?」と言われ何度言っても通じない。

暗くて見えなかったが良く見るとかなり年配のドライバーだ。

すぐさま「ニューカレドニアンマーケット」と言い直すと、すぐに通じて出発した。

昔はそう言われていたと何かで読んでいたので助かった。

明るくても綺麗な街並みだが、ライトアップされたロンドンの街並みはとても素晴らしい。

大聖堂の横を通るとすぐにテムズ川へ出る。

ここの通りはロンドン塔もあり、真っ暗だと少し不気味さもあるが、
昔はここに色んな人が幽閉されていたんだとタイムスリップしてロマンに浸れる。

橋を渡りしばらく走るとバーモンジーマーケットが見えてきた。

もう数十人の人達が荷物を出している業者を囲んでいるのが見える。

懐中電灯の明かりがサーチライトのように飛び交っている。

どんな物が出ているかわからないのに先を越されたーと気が焦る。

タクシーを降りてその人だかりに向かう。

懐中電灯を取り出し大きな身体のイギリス人の隙間に入り込み中をのぞく。

僕は173cmと日本では小さくはないが、
190cm近くある人が多いイギリス人の中だとかなり小柄でこんなときは得をする。

するとキラキラと光る大きな馬の額が見えた。

それはまるで黄金の塊でできた今にも走り出しそうな迫力満点の彫刻だ。

すでに左のおじさんが手に持ち値段交渉をしていた。

やっと聞き取るのが慣れてきた英語に耳を立てて話を盗み聞く。

するとこれはゴールドなのか?検査はしたのか?みたいなことを言っている。

店主はヒゲにまみれた、いかにも怪しげな風貌をして、「アイ・ドン・ノー」を連発する。

それでもしつこく聞くおじさんに怒りだし、
値段が合うなら買えばいいやら、自分で評価しろと喧嘩腰で言い返す。

それでも何か言うおじさんに、とうとう我慢も限界になり、
ついにどこかへ行け、君には売らない!と切り捨てた。

すると一転しておじさんは、ポケットからお金を出すしぐさをして買うよ
、と言うがヒゲ店主はいくら出されても売らないと譲らない。

そして何を言ったかわからないが更に大きい声で怒鳴りつけるとおじさんは退散してしまった。

気まずい雰囲気だが僕は黄金の馬に懐中電灯をあてて見とれていると、
ヒゲおじさんが、欲しいのか?と聞いてきた。

あわてて、「素晴らしいけど高いんですよね?」と言うと「150ポンドだ」。

僕はびっくりして聞き返すとやはり150ポンド(日本円で約3万)だ。

その値段で金かどうかを聞くのもおかしいし、
そうでなくても充分すぎるくらい素敵なものだから、
おじさんはケチを付けずに買えば良かったのに・・・

そう考えているとヒゲおじさんはイライラしているのでどうする?と
僕にもキツイ言葉で聞いてきたので、すかさず買いますといいお金を出した。

大きい物なので、置かしてもらえないかと聞いたら、店主には聞こえず、横でみていたおじさんが、
この店は明るくなる頃にはいなくなるからダメだよと、教えてくれた。

昼前ぐらいまで開催しているはずなのに、
おかしいなと思いながら重たい黄金の馬を脇に抱えて、その場を立去る。

だがあまりに重たいのでインドアの2年前に仲良くなった
アンティークジュエリー店のデービッドの所に駆け寄る。

5時前なのに、いつものハイテンションでおはよう!と声をかけてくれる。

事情を話すと、快く置かしてくれた。

そしてまた暗闇に飛び出て懐中電灯を頼りに周りだすと、
薄っすらと青い空になりどんよりとした雲が見えてきた。

まだ暗いが遠くまで見渡せるようになり人も沢山出てきて市がますます活気づく。

すると数人の業者だけ、今からお客さんが増えてくるのにいそいそと、
車に荷物を入れて片付け始めていた。

あのヒゲおじさん周辺だ。

僕は頭の中で推理が始まる。

きっとあの人達は明るくなると都合が悪いことがあるのかも。

盗品や売ってはいけないものを売っているのではと、妄想が広がる。

するとあの黄金の馬は純金で出来ていて、
貴族の屋敷に飾られていたのを、
ヒゲおじさん達が盗みに入り市で売りさばいているのかも・・・ともう止まらない。

馬が気になりはじめてソワソワするのでデービッドのところに戻り、
新聞紙をはがしデービッドに天眼鏡を借りチェックする。

明るいところでみてもほんとに素晴らしい彫刻だ!

これはすごい掘り出し物を見つけたと、
心の中では貴族の屋敷から出た純金の馬だと思い込んでいる。

デービッドも綺麗な馬だねと言ってくれたので、
僕は妄想の話をするとデービッドは笑いながら、
「あの人達は泥棒軍団ではなくて、出店料を払わないで出てて、
店を出す時間が遅い業者の場所で出し、集金の人が来る前に急いで帰るんだよ。」と説明した。

僕が苦笑いしていると「でもこの馬は素晴らしいよ」と声をかけてくれて、
僕の妄想物語が終わりを告げ、そうだ僕は惚れ込んで買ったあとに妄想が入り込んで来ておかしくなっただけで、
この黄金の馬は素敵な逸品だ!と思いなおす。

妄想協会の会長になろうかと思うほど自分の妄想がばかげてておかしく、
だんだ面白くなってきて、気分が良くなってきたので
もう一度外に繰り出す。買い付けは楽しい♪

もうすっかり夜は明けてヒゲおじさんの場所には、
セントバーナードを連れたガラス製品を売る人が出ている。

あのワンちゃんは朝寝坊しそうな顔をしているな・・・また妄想だ。

つづく
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アンティーク買い付け物語ツアーの実現を記念して、今までの買い付け物語を、店長日記から抜粋してまとめました♬
順次ご紹介しますので、是非ご覧下さい♬

☆アンティーク買い付け物語☆第8話☆

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