お人形を近くに見にいくと、プロフェッショナル(鑑定人)のオリビアが微笑みながら挨拶を交わしてくる。
手にはその前で必死にチェックしているバイヤーに見せてと頼まれたお人形を抱いているが、
それはあまり見たことが無い顔だなぁと思い話を聞いていると珍しい作家の作品だった。
いきなり珍しいのを見れたので、またワクワクしてきた♪
あらかじめ情報を得ていた、7体のお人形を探す。
数が多すぎてなかなか見つけられないでいると、テディベアーのコーナーが目に入る。
棚の一番上に真っ黒のクマがどっしりと座っていた☆
汚れて黒い子はいるが、ほんとに真っ黒でそれもかなり古そうな感じがする。
資料に目を通すと1930年頃のイギリス製でメーカーは不詳とある。
古いタイプでブラックベアーというのはありそうであまりないし、近くで見てみると顔もすごく可愛い☆
クマというよりもカバみたいで愛嬌がある♪早速チェックを入れる☆
そして時間が無くなるし、探しても目当ての子は見つからないのでオリビアに聞くと、
奥のガラスケースにあると言うので見に行くと、そこもやはり沢山の人が群がっている。
何とか1体1体を確認できてチェックを済ませることが出来た☆
写真では7体とも可愛くて、素晴らしく出来もいいと思っていたけど、
3体だけが素晴らしく、後は思っていたのとはかけ離れていたので、
やはり直接手にとって見ないと駄目だなと改めて思い知る。
あと30分ほどで始まるので、情報を得てないお人形たちを時間の限り見ていると、
横のオークション落札会場へぞろぞろと人が入っていくのが見える。
受付を済ませると、受付番号は515番。
来い来いお人形か、とこじつけて縁起がいいなと考えているのは、
日本人の僕ぐらいだろうなと、周りのヨーロッパの人達をみながら面白くなる。
515のあるとき・・と暴走がはじまり、
にやけているのではとブレーキをかける。(551だったら・・)
落札は番号札を上に掲げて落ちるまで、何度も何度もドキドキしながら
上げたり下げたりする☆
会場に入るともうほとんど席が埋まるほど人がいっぱいいる。
僕はいつも最後のほうに入り一番後ろの席に座り参戦する。
普段仲が良い、ロンドンやパリのお店の人もみんなライバルになり、容赦はしてこない。
僕が後ろで札を上げていると振り返って誰が競っているのか?と見るので、いつも凄いなとびっくりする。
僕は前に座って後ろで誰かが競っていても恥ずかしくて振り返ったり出来ないので、後ろに座るようになった☆
たまに僕の顔をみて、譲ってくれる場合もあるし(ごくまれだけど)
さあーいよいよ始まる!と思っていると、まだ始まってもいないのに、
ロンドンの人形店のブレッダが、誰がきているのかとキョロキョロと後ろを振り返っている。
僕と目が合っても笑顔のかけらもない。
店やフェアーで会ったら満面の笑顔で抱きついてくるのに。
14体をチェックしたので、何とか半分以上は日本に連れて帰るぞーと気合を入れ直す☆
一番前の台に担当者が立ち、カーンと木のハンマーを打ち鳴らすと全員が拍手で向かえ、
凄い盛り上がりになった。
いよいよ始まる☆
つづく