落札予想価格は400〜700ポンド。
約10万前後である。
僕は深追いしないように、チェックを入れるときにいくらまでと決めて落とす。
今回は珍しいし、特に欲しいので800ポンドまでと決めた☆
大体は予定価格以内で収まることが多い。
ちょっと前にテディベアーを1000万円で
日本人が落札というニュースがあり、
それは予想価格をはるかに超えていたが、ごくまれである。
アンティークは値段があってないようなものと、
言う人がたまにいるが、大体の相場はしっかりある。
振り台の上のモニターにカバ黒クマが写る☆やはり可愛い♪
スタートと同時に一斉に札が上がった。
凄い数のライバルだ・・あっという間に700ポンドまで上がり
右腕に力を込めて札を上げるがまだまだ沢山札があり、
お手上げだが、今回はムキになり頑張る。
1000ポンドまでだ!と決める。
でも落ち着く気配が無く、振り台の人の声がますます大きくなり
ついに1000を超えた。
あきらめの心境になりバクバク弾んでいた心臓が、
キューと縮まる感じがする。
この瞬間はものすごい失望感と、脱力感に襲われる。
ボーっと眺めていると振り台のすぐ前の人と、
なんとブレッダの一騎打ちになっている。
ブレッダが買えばあの子にまた会える!
落ち込みから応援の気持ちに切り代わり見守ると
ついに1500ポンド・・
いくらなんでもシュタイフでもないのに高すぎる。
そう思うと同時についにブレッダも手を引いた。
何度も何度も振り台の人が目の前の人に
1500ポンドとハイテンションで確認し、
ハンマーをカーンと打ち鳴らす。
相場以上に白熱すると拍手がこだますることがあるが、
今回はなんせカバ黒クマなのでみんな微笑みながら拍手が鳴リ響いた☆
すると一番前にいた落札者がすっと立ち上がり後ろを振り返る。
なんとあの入り口でぶつかったマフィア(妄想)ではないか!
威圧感まみれの顔が嘘のように笑顔で右手をあげ拍手に応え、
そのまま会場を出て行った。
1本釣りとは・・その潔さにまた拍手が大きくなる☆
僕の妄想は打ち砕かれ、今日のヒーローだ☆
入り口ではきっと緊張して心臓がドクドクして会場に入り、
とにかくあのカバ黒クマを何としても買うのだと固まっていたのかもしれない。
(全身黒服も黒クマを買う縁起かつぎかも?)
下見の場所でも見なかったので、
来てすぐに一番前に座り待っていたのだろう。
とにかく会場全体が和らいだし、僕の気分も晴れやかになった。
マフィアの娘に買ったのか、抱いて寝るのかどうかわからないが、
どっちにしてもあの人が買って良かったと思えた。
そう思うと同時に天窓から柔らかい陽が差し込んで来た。
(1ポンドはその当時は200円。現在は約240円です)
つづく