アンティーク買い付け物語ツアーの実現を記念して、今までの買い付け物語を、店長日記から抜粋してまとめました♬ 順次ご紹介しますので、是非ご覧下さい♬
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☆アンティーク買い付け物語☆第41話☆

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僕が27歳の頃の話しの続き・・・

カムデンロックの洞窟を制覇したらもうお昼前になったので、お兄さんに聞いたホッドドックを買いに走る。

少し離れているし、物凄い人出になってきたので20分はかかった。

ピンクやブルーのヘアスタイルをしたパンクファッションのロンドンっ子達が
お目当てのビンテージ古着や雑貨などを懸命に探しているので、
かなりぶつかるけど、ほとんどの子は、ソーリィと言葉をくれる。イカツイけど優しい・・・

目当てのホッドドックは10人ぐらい並んでいる。

可愛い黄色のワーゲンバスがお店になっていて、店員さんもとてもおっとりした感じの2人組。

僕の番が回ってきて、注文するとその場でソーセージを焼き出した。

時間はかかるけどこれは美味しいはずだ。

オニオンはいる?

と聞かれたのでプリーズ、と頼むとパンの間にこぼれ落ちそうなほどオニオンを詰めてくれた。

そしてこんがりと焼きあがったソーセージを挟むと、
そこにケチャップとマスタード、マヨネーズがあるからお好みでどうぞ、
と言われ自分で好きなだけつけて出来上がり。

3ポンドを払い、待ち切れずに頬張るとマスタードをつけ過ぎたのかとても辛くて涙が出てきた。

端だけつけ過ぎていたみたいで、辛さが収まりもう一度食べるととてもジューシーで美味しい。

これからはこれを毎回食べようと心に決めて、カムデンロックを後にする。

昼を過ぎると人が多過ぎて身動き出来なくなるし、
昨日アンティークジュエリーのディーラーに、高級アンティークイベント、オリンピアの招待状を頂いた。

本当は入るのに8千円もいるし、出店業者の出店料はワンブース50万円もすると言う噂だ。

僕には縁のない世界だし、とても買えそうにないので、今までもお誘いをお断りしていた。

仲が良いフランス人で、ロンドンで店をしているエリザに、
買わなくてもいいから見るだけでも今後の勉強になるし、
貴方の格が上がりますよと言われ、それなら時間があれば行ってみます、とチケットを貰った。

そのまま地下鉄を乗り継ぎ、オリンピア会場へ向かう。

1週間のイベントで何日か経っているけど、日曜日なので駅自体が混んでいる。

地上に出ると大きな白い建物がそびえ立っていた。

入り口を探さないと、と見渡したらみんな同じ方向に向かうのでついて行く。

入り口に着くと、物々しい警備が目に入る。

警備員が手荷物を厳重にチェックしていて、中の物を全て確認している。

こんなに厳しいなら一度ホテルに荷物を置いてくれば良かった・・・

カムデンロックの洞窟で見つけた古着やアクセサリー、ぬいぐるみがそのままカバンに入っている。

おまけにいつものおやつも・・・

僕の番がきて警備員がカバンの中を見せてもらいます、とカバンから荷物を取り出す。

古着、アクセサリーなどを見て、売りに来たのか?と聞かれたので、
違います、と言うと不審者扱いされ、これはとりあえず預かっておきます、と取り上げられた。

そしてその奥からはミカン、バナナ、水、チョコレート、コーラーが出て来て、警備員が笑った。

キャンプにでも来たのかい?と完全に舐められてしまった。

周りをみれば、セレブリティな人たちばかりで、シルクハットをかぶった人もいる。

服装もスーツではないし、大きいカバンの中からは色んな物が出てくるし。

だから来たくなかったんだ・・

エリザを恨むと、警備員がチケットはあるのか?と言ってきたので
エリザの店のハンコを押してある券を渡すと、
かなりしつこくチェックされて、その大きなカバンも防犯上良くないので預かります、と取り上げられてしまった・・・

かなり広い会場なので、小腹が空くだろうと思い、食べ物と飲み物だけは持っていっても良いですかと頼むと、
中にはラウンジもあるし、持ち込み禁止ではないが、こんな物を持ちこむ人はほとんどないよ、と言われた。

禁止でないなら良いでしょ!とムキになり何とか入れてもらった。

そして入ろうとすると、何か品物を買ったら領収書を必ずもらうように、と釘をさされた。

それがないと、盗んだとみなされるらしい・・・

非常に厳しいセキュリティだ。

気を取り直して、こうなったら全て見て回り、
エリザの言う勉強になるのかをとことん試してやろう、と完全に開き直る。

本会場に入ると、野球場のように広い空間に、天井はガラス張りでとても明るい。

二階建てに陳列されていて。所々に噴水や、巨大な観葉植物などがあり、地上の楽園のようだ。

その中に高級品のアンティークが綺麗に陳列されている。

右から入るとアールヌーボー専門店があった。

プリカジュールなどの七宝ジュエリーや、昆虫のデザインのブローチなど凄い物ばかりがある。

一つ、イカのようなデザインで、イカの身体がバロックパールで出来ていて、
足が金、目がルビーととても珍しいブローチが目に入った。

価格を聞くと、15000ポンド・・300万円だ・・

手持ちも全部あわせて100万円も無い・・

サンキューと言いそこを離れる。

これは勉強どころかここに来ては行けなかったのではと、弱気になる。

そのまま奥へ進むと、絵画が沢山並んでいるブースになっていた。

それも僕より大きな絵で、大屋敷の天井の高い家にしか飾れない肖像画の専門店だ。

絵は冷やかして見ていても何にも言われないので気が楽になる。

店主はお客さんとシャンパンを飲みながら談笑しているか、豪華なソファに座り本を読んでいる。

中央ぐらいの場所にはミニアチュール専門店があり、
壁一面に、象牙に描かれたミニチュア絵画が500点以上は掛けられている。

こんな数は見たことがない・・・

圧倒されながらも、好きなのでジックリと見て行く。

価格は意外と高くない。

その中にアーサー王子のような幼くて可愛い顔をしたブローチがあった。

顔立ちは人形で言うとブリュ・ジュンのようなキリッとした表情をしている。

価格は600ポンド。

12万円か・・見たこともない素敵な物だけど、即決はよそう。

まだ20%も見ていないし。

みせのおじさんはやはり本を読んでいるので、また後でねーと心の中で挨拶をして離れる。

その先にはキンキラキンの家具達が並んでいる。

本物のロココ調家具だ!ルイ16世などと書かれた説明がついていて、太陽があたり輝いている。

ベルサイユ宮殿で見たような家具達だ。こんなのが販売されているとは・・

価格は凄いだろうな、と横目で眺めながら通ろうとすると、コレクションテーブルの中に赤く光る物が見えた。

近づいてみると、直径15センチはあると思われるブローチで、
全てザクロのようなカボションガーネットが沢山ついていて、そのフレームには綺麗な七宝、所々に真珠が入っている。

多分僕が好きな、ルネッサンス様式のオーストリアの物だろう。

これだけの大きな物は見たこともないし、真ん中のガーネットは僕の親指の爪ぐらいはありとても綺麗。

高いんだろうな・・でも値段を聞くのはタダだし勇気を出して聞いてみる。

ロココ調のソファに夫婦で座っていた店主らしき人に声をかけると、笑顔で女性が来てくれた。

そしてケースの中を指差し、ハウマッチ?と聞くと、これは私がコレクションしていたブローチなのよ、と嬉しそうに取り出す。

そしてウラを見せてくれて、裏の細工がとても素敵なのよ、と説明してくれた。

感動するぐらいの細工がされている。

これは手が出ないだろうなとあきらめモードに入る。

女性は、貴方が気に入ったのなら850ポンドでお譲りします、と品の良い話し方で言ってくれた。

小さいオーストリアンハンガリアンでも500ポンドはするので、850はあり得ない。

聞き間違えたのかもしれないと、もう一度エイトフィフティ?と確認すると、
エイトハンドレットフィフティと言い、間違いない。

17万円なので本当に安い。

ロンドンのアンティークマーケットでもそんな価格でここまで凄いのは見たことがない。

きっと昔買った価格なのかな?などと想像したりしていると、女性が自分で着けて鏡を見ていた。

本当に素晴らしい。

女性はやっぱりこのブローチは素晴らしい物だわ、と関心しながらロココ調の鏡で眺めている。

気が変わり、やはり売るのをやめようと言い出しかねない雰囲気になっている。

これはいけない。

気が変わらないうちに頂こう、と声をかけようとしたら、
奥の旦那さんかどうかはわからない男性にこっちへきてと声を掛けられ、ブローチを着けたままソーリィと席を外す。

本当にやばくなって来た。

緊張しながら行き先を見届ける。

何とか分けてもらわないとあんな凄い物とは二度と巡り合わない。

さすがはオリンピアだ。

それもあの価格でなんて信じられない・・

さっきまではエリザを恨んでいたのにさすがなんて言っている自分におかしくなる。

奥で何か話しをしている姿を、祈りながらジッと見守る。


つづく。
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