僕が24歳の頃の話・・・
今日はケンプトンパークレースコースのアンティークフェアーがあり、
格安のスパンコール、テディベア、コスチュームアクセサリー、ガラス製品、伊万里の壺など大収穫で大荷物を抱え電車に乗りロンドン市内に戻る。
ほんとうにここのフェアーは予算が少なくても沢山買うことが出来るので、僕にはうってつけだ!
荷物を抱え席に座り、袋も紙にもくるまれていない、伊万里の1mはある壺をみながら笑みがもれる。
なにせこれだけ買って10万円もしないんだから・・・
一人でにやけていると、斜め前の方から声をかけられる。
ハロー!と声をかけてくれたのは、カムデンロックの蚤の市で知り合った、
中国人のアンティークディーラー、ティンだった。
その横には見たことがない、同じく中国人のような年配のおじさんが座っていた。
そのおじさんは大きな目をしながら、笑顔で挨拶をしてきた。
僕の席は4人席で前が空いていたので、ティン達がこちらへ来てくれた。
なにせ僕は大荷物で動けない・・
話を聞いてみると、ティンはそのおじさんにかなり世話になっているらしい。
僕も適当な英語で、ティンもロンドンに住み始めてまだ1年ちょっと、
と言ってたので僕と変わらないレベルの会話なので面白い。
そしてどうしても会話でつまったら漢字を書きお互いに納得する。
漢字文化の国同士だから出来る芸当だ!
共に違う国から来て日本語と中国語は当然話せるが、
ロンドンで出会い、それぞれ覚えたてのたどたどしい英語で話している。
ティンは杭州で以前新聞記者をしていたらしく、何の事情かは知らないが子供を置いてロンドンに来ている。
そしてその身の回りの世話をティンはアンクルと呼ぶこの大きな目のおじさんにしてもらっているらしい。
週末のポートベロー、カムデンロック、週明けのコベントガーデンの蚤の市に
店を出し、普段は古本屋でアルバイトをしながら英語学校に通う、頑張り屋さんのティン。
その店の出店やバイト先、学校も全てアンクルが紹介してくれたらしい。
アンクルは僕にも話しかけてきた。
このあとどうするんだ?
荷物をホテルに置いて、明後日に日本に帰るので梱包作業をして後は寝るだけです。
そう言うと、アンクルはティンと中国語で話し出した。
今日は学校もないし、アルバイトも休みだから、アンクルが私の家で料理を振舞うから、
荷物を置いたらトッテンナムコートの駅に1時頃に来てくれたら迎えに行くよ、と言ってくれた。
家にまで招いてくれるなんて嬉しいけど、ティンではなくておじさんが料理を振舞う?と言うのが不思議だけど面白い。
僕はもちろん喜んで行かせていただきます!と言うとアンクルは、君は魚は食べれるか?と聞いてきた。
はい!と言うとティンがアンクルの料理は中華と
シンガポール料理の良い所をとっていて、とても美味しいのよ!と興奮して話す。
そしてティンは、私のアパートはシェアをしていて、日本人の学生と住んでいるけど、
もしかしたら休みで、家にいるかもしれないけどいい?と言ってきた。
もちろん構いません、と話すとちょうどビクトリア駅に乗り継ぐ、ジャンクション駅に着いた。
ティン達は、このままウォータールーまで行き、地下鉄で帰るのでここでお別れした。
シーユーレイター!
重たい壺と大きな袋を抱えて電車を降りる。
今は11時頃だけど、朝5時起きで始発でアンティークフェアーに来ていたし、
中華とシンガポール料理のミックス・・・それを聞いて余計にお腹が空いてきた。
どんなアパートで、どんなに美味しい料理なんだろう!
異国へ来て初めて自宅へ招かれた。
それもイギリス人ではなく、中国人の女性とおじさん。そしてそこには日本人の学生がいるらしい。
不思議な組み合わせだが、とても楽しみだ♪
早く部屋に帰り、今日の掘り出し物を置いて向わないと!
改札を出ると同時にお腹がグーと鳴りだした・・・
続く