ドールショーを後にして、いつもなら大荷物を持ちホテルへと帰るけど、
今回は小さいお人形がほとんどなので身軽だ。
ホテルへと帰り、今日はホテル近くのビクトリアロイヤルホールでの
アンティークフェアーが開催されているので小さい荷物を置き、すぐに部屋を出て歩いて向かう。
徒歩10分程で着く場所にあり、月1回行なわれているアンティークフェアーで、
ビクトリア時代の素晴らしい建物で約100店舗の業者が集う楽しいアンティークフェア。
ホテルから歩く途中、大きなグラウンドがある。
綺麗な西洋芝が整備されポールが立っているのでラグビーのスタジアムだろう。
その横には30メートルはある巨大な街路樹がズラリと並びその向かいは200年は経っていそうなレンガ作りの洋館が聳え立つ。
その向こうには300年以上前の教会のとんがった屋根が天に向って細長く伸びている。
数年前にあまりに古くて素敵な外観を写真に収めていたら、
中から神父さんが出てきて、あなたはクリスチャンですか?観光ですか?と聞かれ、
観光ですと言うと、中に入ってもっと素晴らしい写真を撮ってもいいですよと導かれたことがあった。
中にはほんとうに素晴らしいステンドや、20メートルはありそうな豪華なパイプオルガンがあって言葉を失って見入ってしまった。
信者さんも数人いたが、皆さん僕を微笑ましくみてくれて、イギリスの懐の広さを見た気がして嬉しかった想い出がある。
そんなことを思い出しながら歩いていると携帯のバイブがポケットで震えだした。
だれだろう?
昼過ぎなので日本は深夜前でお客さんではないはずだ。
取り出し画面を見ると020から始まっているので、ロンドン市内からだ。
記憶をしていない番号なので、ドキドキしながら電話に出ると女性の声で、ディスイズ・フェルナンデス スピーキング・・・と続く。
以前にドールショーで会って一度自宅に行ったことがある婦人だ。
今回のドールショーにはそういえば出ていなかった・・・
ハワイユーなどと挨拶をしていると今から時間はないか?と聞かれた。
今からロイヤルホールに行くけど何か?と聞くと見せたいお人形があるから来ませんか?とのこと。
時計をみると2時半。
今からロイヤルホールを見て3時半頃でもいいなら行きますよ、と言うと待っているわー!と大きな声で電話を切られた。
一度しか行っていないし、そのときは旦那さんの車でドールショーの帰りにそのまま連れて行ってもらい、
帰りはタクシーで帰ってきたので、どうやって行けばいいかわからない・・・
すぐにかけなおし、自力で行った事ないですよと言うとソーリーと謝りながら住所を教えてくれた。
手帳にメモをしてシーユーレイターと言い電話を切った。
ヒースローの近くで庭から続く牧場もあり、乗馬が趣味で馬もいるらしいが、前回は夜だったので姿を見る機会はなかった。
なにせ動物好きなので人形ももちろん楽しみだけど、今日なら牧場の動物達が見れるかもしれないと心が弾んできた。
早歩きでホールに到着すると、名刺を見せて1ポンドで入場する。
名刺がなくて、アンティークディーラーでなく一般のコレクターなら5ポンド払わないといけない。
僕は日本語の名刺しかないが、それでも通用する。
最近は毎週日曜日に開催されていたホテルアンティークフェアーも縮小が続き、
ほとんどなくなってきたので、ロイヤルホールは出店業者がかなり増えた。
いつもどおり左周りで見だすと、いきなり顔見知りの婦人が店を出していた。
ひさしぶりと挨拶を交わしガラスケースを覗くと可愛いカメのエメラルドのブローチと魚のブローチ、馬のペンダントトップが目に入る。
頭の中はすでに動物園になっているのか・・・
そう思いながらもとにかく気に入ったので値段交渉をして頂いた。
足早に見て周るが他には目に飛び込んでくるものが無かった。
そう思い出口に近づいて来た所で可愛いテディベアが目に飛び込んできた・・・
もう頭はフェルナンデスの牧場に支配されている・・
確信してベアの価格を聞くとかなりお値打ちなので急ぎながらも値段交渉をして
カバンに入れても頭が出ているベアと共に会場を後にする。
早く行かないと日が暮れて見れなくなったら嫌なのでタクシーをつかまえて住所を伝える。
でも考えてみたらサマータイムなので日が暮れるのは8時過ぎだ。
嬉しくなり、今買った動物達をカバンから取り出し手に取りながらタクシーは走り出す。
みんな可愛い♪
ビクトリア駅を通り抜けると前に馬車が走っている。
警察官が馬に乗っているのはたまに見るけど、馬車はバッキンガム宮殿前で昔見ただけだ。
近づいてきたのでじっくり見ると、ハロッズと書いてある。
王室御用達のデパートで建物もとても素敵な名門中の名門。
しかし馬車まであるとは・・・
追い越すと、中に乗っている人はカーテンで見えなかったけど、馬車を操っている人はヒゲをつけていて、アルプスの少女ハイジに出てくるクララの馬車の運転手、ヨハンに似ている。
今度は馬と遭遇した。
動物に導かれている!と勝手に思い込み、タクシーは馬車を追い抜かしフェルナンデスの屋敷へと走り去る。
続く