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☆アンティーク買い付け物語☆第23話☆

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僕が23歳の頃、初めてパリへと旅した話の後編・・・

地図を片手に、足早にホテルへの長い道のりを歩き出す。

道を1本でも間違うと、大変なことになるので、通りで大きい交差点がある度に、通りの名称を確認する。


ただ1つ幸運なのは、今はサマータイムだ。

夜9時過ぎまで明るいので、5時間以上かかったとしてもまだ明るいだろう。

本にも書いてあったが、パリの治安はロンドンに比べると悪いらしい。

裏通りや、洗濯物を干してある区域は気をつけないといけないと書いてあった。

パリでは条例で、道から見えるところに洗濯物を干してはいけないらしいので、
それを堂々と干すところは、危ないところだと・・

パリの人は大変だ・・

どうやって洗濯物を干すのだろか・・・

そんなことを考えながらもただひたすら歩く。

高校野球で鍛えていたことがこんなところで役に立つ。

足や体力は全然問題なく、ただ不安な気持ちがあるだけだ・・

足早に歩いているのは僕だけではなく、
もちろんみんな困っているので僕の横も4、5人は同じように歩いている。

交通手段がないから歩くしかない。

僕は早歩きなので、日本では歩いていても抜かれることはないのだが、
気にしてみればさっきからどんどん抜かれている。

僕と同じ、歩数なのに・・・

そうか・・・足の長さが違うんだ。

同じだけ腕を振り、スピードも変わらないはずが1歩の間隔が違うから10歩歩けばかなり差が出る。

こればかりはどうしようもない事なので気にせず、ひたすら歩く。


これがストなどではなく、普通の散歩なら景色を楽しみながら、
楽しい散歩になるのに、僕を含め周りの人も笑顔のない、厳しい散歩だ。

時計を見ると2時間も経っていた。

場所を再確認すると、ホテルまでの地図上の距離はまだ半分も来ていない・・

かなりの早足で来たから、半分は来ているかもと淡い期待があったが、甘かった・・・

気を取り直し、また歩き出す。

市街地をずっと歩いてきたが、公園のような広い通りに出る。

セントラルパークのようなところかな・・・

車や人が急に減った。

時計を見ると18時を過ぎている。

こんな道ならサマータイムでなければ、薄暗いな。

そう思いながら、歩いていると前から、何にも持っていない手ぶらの黒人が歩いてきた。

僕をはじめ、旅行者はみんな地図を片手に歩いているし、
仕事の人はカバンなどを持ち、手ぶらの人は、このストの非常事態にはあまりみなかった。

そう考えながらすれ違うと、僕の全身を見ていた。

身体はかなり大きく2メートルはありそうだしガッチリしている。


目つきが違うし手ぶらだったので、怪しかったが,すれ違っただけで済んだ。


それにしてもこの公園の通りは人が少ない。

横からも人は来ないし、僕の前に、僕を追い抜かした人が5人ぐらい見えるだけだ。

後ろはどうだろう・・

振り返ると、さっきの黒人が少し離れて僕の方向に歩いてきている・・・

目が合いドキッとした・・・すれ違ったはずなのに戻ってきているのはおかしすぎる・・

それも3分ほど前だし、かなりの早足で歩いているので、だいぶ過ぎてからこちらに方向転換したんだろう・・・

横にはだれもいないし、後ろには20メートルぐらい離れて黒人だけ。

前の人は200メートルは離れている。

やばい・・・

もう一度後ろを見ると、さっきより距離が縮まっている・・

僕が二回ふりかえったことで、相手も警戒していることを察知したようで、スピードを上げてきた・・・

もうこれは走るしかないか、どうしようと考えながらもう一度後ろを見ると
10メートルの距離で、上着の内ポケットに右手をいれて何かを出そうとしていた・・・

もう完全にやばすぎる・・・

前を見てダッシュをかけた瞬間に、右の通りからポリスが出てきた・・・

やったー!

全身が緊張と焦りでガクガク震えながら、
ポリスにボンジュールと声をかけ後ろを振り返ると、黒人は猛ダッシュで逃げ出していた。

そしてアッと言う間に木々に隠れて見えなくなってしまった。

ポリスは状況がわかっていなく、ただ地図を持っている僕に声をかけられた、と言う感じだ。

僕も今の出来事を説明する語学もないので、ホテルを指差し、
ここに行くにはこの道で合っているかを聞いて、メルシーと言って別れた。

間違いなくあの黒人は強盗で、ナイフかピストルのような凶器を出そうとしていたんだ。

もしポリスが出てこなかったら今頃は・・・

そう考えると今まで以上に早足になり、競歩のような姿で歩き出した。

そして本当に僕は運が良い!と今までの怖さから、
これだけ強運なら大丈夫だ!と考えるようになり、更にスピードを上げ歩く。

時計を見ると20時だ。

もう怖い思いをした公園はとっくに過ぎて、車や人が飛び交う大通りだ。

お腹も空いているはずだが、そんな余裕はないので、とにかくホテルを目指そう。

地図を確認すると、もう少しのところまで来ている。

あと半時間もかからないかも・・・

通りにするとあと5本だ!


もうここまでくれば・・・


そうかんがえると足が軽くなる所か、急に足が重くなり、
全身に疲労感が広がりしんどくなってきた・・・

緊張の糸が切れたのかな?


とにかくもう少し、頑張ろう。


出来るだけの力を振り絞り歩いていると、朝乗った地下鉄の看板が見えてきた。


駅の道を右に曲がると、ホテルも見えてきた。


ホテルに入り、フロントをみると夕べや今朝のように、普通の光景だった。


僕の頭の中には、3時間ぐらいの冒険物の長編映画のエンディングが流れているのに、周りはいつもの日常だった・・・


まぁ、いいや。


無事に約5時間の恐怖と緊張の『パリ市内ほぼ歩いて縦断の旅』がようやく終わったんだから、どうでもいいや。

でもあのアキラの奴めー!部屋に戻ったらすぐに電話してやる!
と別のパワーを出して部屋へと戻った・・・



続く
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