僕が28歳の頃の話・・・
今回はパッケージツアーで格安のロンドン行きがあったので、それを利用してロンドンに到着した。
ホテル朝食付きで大阪からロンドン往復12万円。
それもロンドンヒルトンホテルなので、どんなホテルだろう・・・
少し期待しながら、ヒースロー空港を出る。
そこでツアーの団体バスの前で集合になっている。
ほとんどフリーなツアーなので人数も多くなく20人ぐらいが集合している。
バスに乗り込むと担当者がロンドンでのマナーやチップの金額、注意点などを説明している。
個人で行くとそんなことも聞くことがないので、面白く新たな発見もある。
バスはロンドン中心部ではない雰囲気のところに到着した。
ヒルトンはどこなんだろう?
バスを降りると高い壁の向こうに普通の建物があり、良く見るとロンドンヒルトンと書いてある。
大阪のヒルトンホテルのイメージしかなかったので、期待外れだったけどこの価格なら当然かなと納得する。
部屋に荷物を置くと、夕方の5時過ぎで、夕食はもちろん付いてないので外へと出かける。
しかし周りにはなにもない・・・
地図を見てチャーチストリートが目に入る。
かなり離れているが、アンティークマーケットがあるところだ。
20分以上はかかりそうだけど歩いてみよう。
しばらく歩くとマリーボーンストリートに出るがなかなか建物もない、道路と車だけしか見えない。
こんな不便な所にホテルを建てるとは・・・
やはり昔からあるホテルならビクトリアや、サウスケンジントン、ピカデリーサーカスなど便利な所に建っている。
だからパッケージツアー専用のホテルになるのかーなどと考えていると
人気が出てきてチャーチストリートが見えて来た。
チャーチストリートはマリーボーンから入ると、アンティークマーケットがあり、その先を進むと、
食品、衣類などの市がかなりの広範囲で広がり、週末はものすごく賑わいがあると聞いたことがある。
アンティークマーケットには以前からきていたけど、ここに滞在するのは始めてなので、市場にお世話になりそうだ。
時計を見ると25分かかっていた。
通りに入るとすぐにアンティーク家具の店がある。
その少し先の方にアンティークマーケットの看板が見える。
中に入ると6時閉店なので片付けている店もあるが、まだお客さんがいるので、安心して
足早に見て回る、するとコスチュームアクセサリーが沢山飾ってあるジャネットの店がある。
真っ白な髪の毛で長身のどこから出しているのだろうと言う甲高い声で、ハローと挨拶をする。
ものすごく狭い畳2畳ぐらいのスペースだが、前面のガラスケースにも所狭しと並んでいて、
うしろの壁一面に昆虫採集のピンでブローチが貼り付けてある。
1000個はあるだろう。
それ以外にも業者には特別にシューズの空き箱にストックしている新入荷や在庫を見せてくれる。
価格ももともとお手頃だが、更にサービスしてくれ優しい店主だ。
日本の気候は?などと挨拶を交わしていると、もう閉店時間が迫ってきた。
今回は歩いて来れる距離のホテルに滞在していることを伝えると喜んでくれた。
それには理由がある。
前回こちらに来たときに、朝からのみの市や、オークションなど荷物がいっぱいの状態で、
ジャネットのマーケットに来て、閉店間際までいたときに、ジャネットが車で送ってあげようかと言ってくれた。
僕よりは年上だけど若い女性だし、イギリス人のプライベートな車に乗せてもらったことがなく、ドキドキしながら送ってもらった。
ところがそのドキドキは10分もすれば違うドキドキに・・・
ロンドンの道は回転交差点など信号がない交差点が多く、
運転技術がなくトロトロしているとすぐにクラクションが鳴らされる。
いつも甲高い声で、スローに話し、とても上品な話し方のジャネットが、
交通量の多いカンバラントホテルの周辺にさしかかり、横から車に割り込まれた。
すると大声を出し、信号が変わり発進するとその車を追い抜き、
中指をたてて運転手の男性に文句を言いながら猛スピードで走り抜ける。
その後もそんなに怒るほどではない運転の相手に対しても同じような姿になり、20分でビクトリアのホテルについた。
喧嘩になったら大変だとドキドキしながらのドライブはようやく終わった。
中指を立てられた相手の男性のほとんどは苦笑いをしていたので、女王の国らしく女性のほうが強いのか、
とにかく緊張の時間が終わり、お礼を言い、荷物を降ろしてくれて車を降りると、
何事もなかったかのように、いつもの高い可愛い声でGOOD NIGHT.
ハンドルを握ると豹変する人は周りにはいなかったのでほんとにびっくりした。
それも普段の姿からは想像ができない女性が・・・
きっといつもあんな感じで運転しているのだろう。
前回送ってもらったお礼も言いマーケットを出る。
通りに出て、食品のマーケットに向かう。
すると市もほとんど終わりかけていて店じまいを始めている。
レストランなどはないかと歩いているとシンガポールレストランという看板が見える。
日本の大衆食堂のような感じだが、アラブ系の人たちなどで賑わっている。
外のメニューをみるとシンガポールヌードルが3ポンドど書いてある。
約600円と安いし美味しそうなので入り、注文すると3分ぐらいですぐに出来上がり、食べるととても美味しい。
他の人が食べている野菜たっぷりの料理もどれも美味しそうだ。
僕は聞けそうな雰囲気ならあの人が食べているのは
どのメニューの料理かと店員さんに聞き、次回はそれを食べるようにする。
海外ではメニューがわかりにくいのでそうすれば、美味しいものが食べられる。
チャーチストリートはアンティークはあるし、市場もありとても良い所だ。
週末の市場を楽しみにしながら、ホテルへの道を歩き出す。
続く