アンティーク買い付け物語ツアーの実現を記念して、今までの買い付け物語を、店長日記から抜粋してまとめました♬ 順次ご紹介しますので、是非ご覧下さい♬
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☆アンティーク買い付け物語☆第11話☆

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僕が25歳の春・・・

春とはいえ、4月のロンドンはとても肌寒い。

土曜日のポートベローが終り、お金も乏しいので、ビクトリア駅からホテルへと帰る。

その途中に小さい旅行会社のウインドーに目が行く。

PARIS £55。

えっ!と思い良く見てみると、他にもオランダ、オーストリアなどが同じプライスで出ている。

パリへは一番最初に買い付けに行って以来行ってなく、今は大韓航空で来てて、
もちろん、サービスもないので、23歳に初めて行った素敵なパリの街並みが頭に広がる。

明日はパリでは蚤の市のクリニャンクールとヴァンブーがあるし、
ロンドンではサンデーホテルフェアーぐらいしかないので、パリに行きたい!と気持ちが高ぶり、中へ入る。

£55でパリへ行けますか?

唐突な英語で聞くと、今ならまだチケットがありますよ。と笑顔で応えてくれた。

僕は飛行機のチケットだと思っていたので、どこの航空会社か?と聞くとトレイン!と言われてびっくりした。

イギリスとフランスにはドーバー海峡があり、もちろん電車などでつながっているわけがない・・・

怪しい旅行会社で、外国人をだまそうとしているのかも、と不安になる。

そしてどうやって電車で行けるのか?と聞くと途中でフェリーに乗り、
フランスに渡りまた電車でパリへと説明を聞き、不安から今度は、
船にも乗れて電車にもたくさん乗りパリまで行けて往復で1万円で行けるなら最高だし、
母をたずねて三千里のマルコのような長旅で楽しみになり、興奮してきた。

そして日程表などは見ずに、すぐ申し込みチケットを握り締めホテルへと帰る。

そして部屋に戻ると日本から持ち込んだカップラーメンを取り出し、旅行用の電気鍋でお湯を沸かす。

長くて硬いフランスパンとカップめんが今夜のディナーだ。

しめて200円ほどの節約メニューだが、僕は薄味党で、
固いフランスパンなどは普段でも何もつけずに1本ペロリと平らげる。

なのでひもじい気持ちも無く、お湯が沸くまで日程表を見ながら待ち遠しく待つ。

良く見ると今夜の8時に出発と書いてあり、到着は朝5時だ・・・9時間もかかるとは・・

だからこの値段なんだ。

でも余計にそれだけの長い電車の旅などもしたことがないし、
フェリーも乗ったことがないので、気分が盛り上がって来た。

ご飯を食べてすぐに身支度をする。

帰りも夜8時に出て朝に帰ってくるので食料をたくさん詰め込まないといけないと思い、
スーパーでリンゴ、バナナ、フランスパン、チョコレート、水、コーラーなどを買い込み出発する。

それだけ買っても800円(40ペンス)なのでこちらのスーパーはとても安い。

ビクトリア駅から直通でいけるので、とても便利だ。

ブリティッシュレイルは色んな駅があるがそれぞれの駅から八方に行き先が違い、
湖水地方へ向かう駅、ビクトリアのように南に向かう駅と分かれている。

駅に入ると大きなボードの前に沢山の人が集まり、
パラパラとパネルが変わり行き先の電車のプラットホームナンバーが表示されるのを、無言でジッと眺めている。

映画でも見たことのある風景なので僕もその中の一人になりホームを探す。

10分ぐらい待つと11番と表示が出た。

僕の誕生日だ!幸先がいい。

もちろん自由席なので足早に電車に向かう。

夜なので空いているのかと思っていたら結構人がいる。

窓際が空いている場所を見つけてドアを開けて中に入り座る。

古い列車が多くてほとんど手動で開けるのがイギリス流だが、昔にタイムスリップしたようで楽しい。

いよいよ出発だ。

ロンドンで夜に列車に乗るのは初めてなので外の景色を眺めて気持ちよくスタートする。

10分も過ぎると真っ暗で何も見えなくなる。

イギリスはロンドン市内から郊外へ15分も抜けると、
すぐに牧場や農場が広がり、ヤギや馬が見えて朝や昼間はとても楽しいし、
いつも写真を撮ったりするが、夜は逆に真っ暗闇になるのか・・・

そうおもっているうちに今朝は5時起きだったので、睡魔に襲われ眠りに入る。

ゴトンと言う大きな音で目が覚めると終着駅に着いた。

時計を見ると2時間半ほど経っていた。

みんながぞろぞろと大きい荷物を抱えて降りて行く。

きっと長い旅からパリに帰るのか、これから旅に向かうのか、家族連れも多い。

僕はトンボ帰りなので食料だけが入った鞄を持ち後に続く。

駅を降りると列が出来ている。

パスポートコントロールとあるので、国境を越える入国審査だ。

空港などとは違い、外だしこれも昔の映画に出てきそうな雰囲気だ。

僕の番が来て荷物をチェックする人が鞄を開ける。

そして沢山の食べ物しか入っていないのを確認すると、おどけた表情をしてハングリー?と大きい声で言われた。

周りの人もみんなドッと笑い、静かな空気が一変する。

僕は一人でロマンに浸っていたのに、恥ずかしくて真っ赤になりながら船へと向かう。

船はとても大きく、船内もかなり広い。

席を探しまた窓際に陣取る。

しばらく座っていてもなかなか出発しない。

2時間半の電車が2回と考えると後はこのような乗り継ぎと、船の時間が多いことにようやく気づく。

楽ではないなー、と心でつぶやきながら鞄をあけてリンゴをかじる。

でも明日の朝にはパリなんだ。

心を躍らせて海を眺める。頭の中ではマルコの主題歌が流れている。


・・・次回へと続きます。
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