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☆アンティーク買い付け物語☆第51話☆

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2011年5月の買い付けの話・・・

金曜日のロンドン。

金曜日と言えば、ロンドン最大の蚤の市、バーモンジアンティークマーケットが開催されていた。

インドアには約100店舗。

アウトサイドには約300店舗ものアンティークショップが並び、
早朝5時の暗闇から、沢山の業者、コレクター達が使う懐中電灯の灯りが、
まるで蛍のように飛び交い、アンティーク達を照らし出す。

ピカソが格安で出た!などの逸話も沢山あり、
ニューカレドニアンマーケットとも呼ばれ、世界中から人々が集う金曜日のマーケット。

6、7年前に起こったロンドンの土地バブルにより、
地価が高騰して、様々なビル、土地などが壊され、立ち退きにあった・・・

バーモンジアンティークマーケットの土地も、
大昔からの伝統などは関係なく、バブルの波にもまれ、買収され、ビルが建てられた。

アウトサイドの土地はビルに。

インサイドのビルは、今も名残惜しく半分が残っている。

今現在のマーケットは新しく建てられたビルの隙間に
30店舗程の店がバーモンジアンティークマーケットの灯を消さないように頑張っている。

でも行くたびに、昔の光景が蘇り淋しくなる。

結局、その後は景気も後退して、開発される途中で終わっている感じなので、
犠牲になったバーモンジアンティークマーケットの衰退はほんとうに無念でならない。

今回もタクシーで向かっているが、行く前から淋しい気持ちになる。

昔は朝5時に着いて、じっくり見るとお昼前までかかるぐらいに楽しんだ。

到着すると、まずはインドアのデービットの所に向かう。

ほとんどの店がまだ開いていないにも関わらず、
デービットは朝早くからハイテンションで、グッドモーニング、マイフレンド!とハンサムな笑顔を朝から見せてくれる。

それでバーモンジーの朝が明け、昼前まで絶好調で終える事が出来る。

二階にあったカフェのおじさんもとても陽気で優しく
、沢山の人で賑わうので、警備員もいて、家具の常設店、シルバー専門店、僕が大好きだった古着屋さんの老夫婦。

7年前の買い付けの時に運良く、その老夫婦の引退セレモニーに偶然居合わせたときは感動した。

その時は、マーケットそのものが縮小することは知らずに、
いつも通り古着屋さんに入り、レース、ぬいぐるみなどを物色していた。

夫人も、寡黙な主人もいつも通りにこやかに迎えてくれて、
極度に寒いアウトサイドから避難所のような存在で、
ポカポカ身体を温められるし、素敵でお手頃なアンティーク達が必ずみつかる大好きな店。

すると沢山の花束を抱えて10人ぐらいの人が入ってきた。

みんな拍手をしたり、抱き合ったり、懐かしんだりして夫人を囲む・

夫人も感きわまり涙を流し、今日で引退するのはとても淋しいけど、
みんなのお陰でとても素敵な想い出が沢山出来て幸せだったよ・・・と話していた。

今日が最終日なんだ・・・

最後にお別れも出来るし、知らなかったので本当に今日来れて良かった。

でもいつもレースや人形、人形の服、自分の古着、ぬいぐるみ、
アクセサリー、ビクトリア時代からアールデコまでの素敵なドレスなど、
まねきねこの店内を素敵に演出する役割を担っていた素敵な店が今日で無くなる・・・

これからどうなるのか・・・

いつもレジの横にいて、非売品だったパンダのぬいぐるみのジムはお家に帰るのかな・・・

とたんにパンダが心配になったので、そちらをみると、寡黙な主人が横に座っていて目があった。

10年以上前の頃に初めてみた時は何度も譲ってとおねだりした。

ジッと眺めていると、主人が覚えていてくれて、ジムは大事に連れて帰るから安心して、と話してくれた。

すると花束を受け取りみんなと懐かしい話をしていた夫人が、
もうこのジェントルマンに譲ってあげなさいよ、と言ってくれた。

夫人の相棒だと思っていたら、主人の相棒だったなんて・・

寡黙な主人は、少し難しい顔をして沈黙したあと、ジムにキスをしてハグをした後に僕に渡してくれた。

申し訳ない気持ちになったので、僕はもういいですよ、と言うと、
寡黙な主人が、僕達の想い出に大事に持っていてくれる?と言ってくれた。

僕はもう、本当にこの店が無くなるんだ、と言う気持ちと、
20年以上も看板娘のようにレジの横にいたジムを託してくれると言う優しさに感動して涙が出て来た。

すると花束を陽気に持ってきた人達も泣き出し、みんなで涙の大合唱が始まった。

みんなさみしさをこらえていたんだ・・

すると次から次と、お別れを惜しみ挨拶に、人々が入ってくる。

僕はいったん外に出ようと思い、主人に後で戻って来ます、と話すと、
今日は13時ぐらいまでは開けているからね、と言われ外に出た・・・

あれから7年程の時が経ち、今もそのパンダは僕のお供をしてどこにでも連れて行っている。

デパート、骨董フェア、ギャラリー、普段はお店で隠れ招きパンダとして現役で頑張ってくれている。

ほんとうに淋しいけど、パンダがいる限り、バーモンジでの様々な想い出は色褪せることはない。

今日もほんの20分もあれば全て見れるほどの規模だ。

僕が出店者なら、あの強烈な店舗数と大賑わいからのあまりの失速に出店を辞めているだろう。

なので今も頑張って出ている業者さんは尊敬する。

僕に出来ることは最後の1店舗が無くなるまで、バーモンジアンティークマーケットに通い詰めることしかない。

もちろん、奇跡が起こり、また賑わいが戻り、かつてのバーモンジーが蘇ることを願いながら。

そしてもし、古着屋さんが復活したらパンダのジムをレジの横に戻そう。

その時を夢見ながら、ホテルに戻るタクシーを探して、ナイトブリッジ方面に歩き出す・・・
日本で留守番しているジムの顔を頭に浮かべながら・・・



続く
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