アンティーク買い付け物語ツアーの実現を記念して、今までの買い付け物語を、店長日記から抜粋してまとめました♬ 順次ご紹介しますので、是非ご覧下さい♬
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☆アンティーク買い付け物語☆第13話☆

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2009年4月の買い付け・・・

関空からの直行便がなくなって初めての買い付けになる。

直行なら13時間でロンドンに行けるのが、乗り継ぎなら17時間かかるので、かなりの差だ。

久しぶりの乗り継ぎでかなり疲れるのではという心配があったが、いつも通り映画を4本観ることが出来た。

その中でも一番面白かったのはディズニーのベッドサイドストーリーだった。

機内は電気をおとして真っ暗闇の中、主役の俳優の声が子供の物語の通りに変な声になったとき、
思わず声を出して笑ってしまい、隣の女性に睨まれてしまった・・・

映画を観ては居眠りしたり、
おなかが空いたら客室乗務員の待機するところに出向いてお菓子をもらいに行ったりと気ままに出来るのでJALの機内は快適だ。

映画も昔は前方スクリーンしかなく、居眠ってしまえば見のがしたりしたが、
今は各席にあり、巻き戻し早送りなど、15チャンネルぐらい映画がありとても便利だ。

これで前売り悟空の割引で往復8万円ほどでヨーロッパに行けるのだから、値打ちがある。

ヒースローに到着して入国審査の列に並ぶ。

イギリスでは入国の際、
アンティークのバイヤーでアンティークを買いに来たと言うと15秒ほどで大体はパスポートにハンコを押して入国できる。

特にロンドンではアンティークでの経済効果が大きく、
お金を落としてくれるならと寛大になるらしい。

それに比べ観光で、何をしに来ました?と聞かれて、
サイトシーイングと言うと、どこに滞在するとか、お金はいくら持っているなど沢山質問されるので言葉がわからない人は大変だ。

他の仕事、留学などは厳しく質問され、証明などがなければ入国が難しい。

自国の就業率が下がらない為らしいが、極端な対応だ。

でも他の国などは100年以上前の骨董品の持ち出しなどに制限がある場合があるので、イギリスの寛大さには感謝している。

パリで昔、普通のSFBJのビスクドールなのにミュージアム級でプロテクトだ!と言われて口論になり抗議をし過ぎて拘束され、
その便に乗れなくなり、やむなくホテルに1泊して帰るのが遅れたことがあった。

そのときは乗り遅れるから、これはこうだと激しく、英語、フランス語、日本語で説明したり、
あきらかにおかしいので怒ったりしたら、ピストルを突きつけられたり、
今考えたら、なかなか体験できない経験だった。別室に連れて行かれたときは逮捕された気分になった。

そして3時間ほど拘束されていた間はトイレに行くにも水を買いに行くのも、
観光客が沢山いる中、警察官が付きっ切りで移動しなければならず、人から見れば犯人そのものだ。

僕はその日に帰れないと決まってからは、あきらめがつき、
相手も意地になっていたので冷静に話をすると、コロッと態度を変えてもういいよとあっさり言われた。

でもそのまま帰っていいよと言われたので、変更になる旅費というか、変更チケットを手配してくれないと
そちらの間違いなので困ると訴えると何とかそれは無料で手配してくれたが、
その日に泊まるホテルの代金は払ってくれなかった・・・

そんな苦い経験があるので、昔7つの海を支配した大英帝国は心が広いんだと、自分勝手に解釈している。

でも実際に、大英博物館などミュージアムを無料で公開しているところは、素晴らしいと思う。

ホームレスや子供達など、誰でも入れて絵を書いている姿を見ると心の広い文化を感じる。

順番が回ってきた。

何しに? アンティークバイヤー。 

どこへ買いに行く? 

ポートベロー、サザビー、クリスティーズ・・・と並べると、
サンキューと言いハンコを押してすぐに終わる。

荷物を受け取りタクシーに乗り込む。

地下鉄でも行けるが空港からは大きいトランクが4個もあるのでタクシーでしか行けない。

トランクの中は、今は空っぽだが、エアパッキンが中でふくらんでお人形達を包むのを待っている。

ヴィクトリア ベルグローブロード19と伝えるとすぐに出発する。

ロンドンタクシーは大体は住所を言うだけで大丈夫だ。

それも日本と違い長距離は帰るのが大変だからか行ってくれない場合があるが、近距離ならどれだけ近くても大歓迎で行ってくれる。

10分も走ると馬が草原で草を食べている景色が広がる。

その風景をみるとロンドンに来た実感が沸く。

30分もするとロンドンの中心地でビクトリア&アルバート博物館、ハロッズなどの素晴らしい建築物の横を通る。

そこから10分ほどでホテルに到着する。

時間は昼の3時半。

日本は夜中なので眠いが、今寝ると確実に時差ぼけで仕事にならなくなる。

夕方にロンドン郊外のコレクターの家に行く約束をしているので、少し早いがホテルを出る。

その婦人は以前にブリュを分けて頂き仲良くなったが、僕は昔から知っていた。

年に数回のドールショーで真っ白なレースをあしらったドレスを着て、
頭には大きなボンネットの帽子。

まさに人形が人形を探している光景を15年ぐらい前から見ていたのだ。

今は80歳代と聞いたが、全然おかしくなく、むしろ可愛く思える。

堂々と好きでしていると似合ってくるし、不自然さが全く無い。

地下鉄で40分程でウッドグリーン駅に着くと、そこからはバスだ。

郊外ではタクシーはなかなかつかまらない。

バスに乗り込むと、勾配のある道にでて、駅名にあるとおり丘や、森が広がり素晴らしい街だ。

この地域には大昔のアレキサンドラ パレスという宮殿があり、
そちらで年何回かアンティークフェアーが開かれていて何回か来た事があるが、
婦人の家はそことは方角が違い、奥深い森の人気のない所だ。

初めて家に招待されたときは、バスの番号と降りる駅名だけを聞いて来たら、途中でこんなところに家があるのかと不安になったが、
バス停をおりるとしばらくしてふつうの格好をした婦人が迎えにきてくれて
ホッとしたのと同時にボンネットの服装を期待してたのにがっかりした。

いつもあの服装だと思っていたのだ。

もう5時前だがまだまだ陽が高く、2時ぐらいの明るさに大きな木々からキラキラと陽がもれる。

バスを降りて婦人の家に歩いて向かう。

5分ほどでレンガ造りの約150年経つイギリスらしい煙突のある可愛い家が目に入る。

窓にはレースが沢山飾ってあり可愛いが庭には興味がないみたいで、あまり手をつけていない。

お人形と自分の世話で忙しいのだろう。

ベルを鳴らすと、6時ぐらいになると約束していたのでびっくりして婦人が出てきた。

ハローと甲高い声で歓迎してくれると、ホッペを合わせる挨拶をしてくれる。

何回しても恥ずかしい。これだけは慣れない。


昔初めてヨーロッパに来た時、関わるほとんどの女性にウインクをされて、
前向きな僕は、ヨーロッパではもてるのかも?と顔を赤くしながらも喜んでいた。

何回か来る度に、これは挨拶みたいなもんなんだと勘違いに気がついたときは情けなかった・・・

2階のお人形の部屋に早速案内してくれる。

紅茶をいれるからソファーに座っててと言われるが、
目の前の沢山のお人形に釘付けになり、座っていられない。

この部屋には所狭しとお人形が150体はいる。

床やケース、椅子など統一感はなく置けるところにどこでも飾るという感じだ。


ブリュを見せてくれると聞いていたので探すと、2体は見つけたが、好みの顔ではない。


僕は自分の好きな物しか選ばないので150体ほどいても見るのは速い。

可愛い赤ちゃんのお人形がいた。

バイロベビーだ。

ピンクと白のストライプの可愛い衣装に包まれていてとても可愛い。

僕は赤ちゃんの人形が好きで、昔100体集めて店に並べたら可愛いだろうなと考えたこともあった。

でも結局売れて行くし数もいくらでもあるわけではないので、その構想は崩れてしまった。

婦人が戻って来て、紅茶を入れてくれた。

そして飛行機は大変だった?など半年振りの再会に話が矢継ぎ早に飛んでくる。

でも僕はその間も人形の方に目を凝らす。

するとそれに気がついた婦人は、話していたブリュはこれよ、と手にとろうとするが、僕はその子はあまり好みの顔じゃないとハッキリ伝える。

そのハッキリさは婦人の好きな性格らしくて、気に入られたのだが、
さすがに見せる前に言われたので、おどけたような表情をして笑う。

そしてこの中ではバイロベビー以外は欲しいものがありませんと伝えると、
困った顔をして、前に来た時よりも30体は増えているのよと機嫌の悪い声を出した。

でも僕は自分が大好きな物しか買わない方針を頑固に決めているので、動じない。

婦人もそれをわかっているので、両手を広げて仕方ない、こちらへどうぞと隣のサンルームのような部屋に招かれる。

初めて入る部屋だ。ドキドキする。

すると大きなクルミ材のような木で出来た素晴らしいガラスケースの中に大きいブリュが2体立っている。

さっき見た子よりは好きな顔だが、前回に買ったブリュに比べると物足りない。

これで全部かなとあきらめかけていたら、部屋の中央のソファとテーブルが置いている横に一人かけの椅子が目に入り、帽子が見える。

後ろ向きなので見にいこうとすると婦人が、ストップをかける。

ここは私の領域なので勝手に行ってはダメよ。

家というのを忘れてお店にいる感覚になっていた。

ソーリーと謝ると笑顔で、見てもいいわよ、と案内してくれる。


夕日に照らされて真っ白な綺麗な顔のお人形が座っていた。

透き通るような白さだ。

あまり見たことのない顔つきをしているが、ロングフェイスジュモーのような顔なので、トリステ?と聞くと、ノー EJAよ。

今まで縁がなかった子だ。

これが欲しいと言うと、婦人は、この子は、EJAは1体しか持ってないのよーと嘆くように話す。

この大きいブリュではダメなの?と言われたが、
今日全て見て僕が日本に連れて帰りたいのは、バイロベビーとこのEJAだけです。と伝える。

婦人は今でも買い続けているが、年齢を考えて少しずつ手放したり交換したりして、
次の世代へと受け継いでいると話していて、家に招かれたのが始まりだった。

沈黙が5分ほど続く。

その間もEJAは真っ白な顔をして微笑んでいる。

僕はベビーだけ譲って頂いて帰りますよと話すと、
婦人はあなたに見られたのが運のつきよ、みたいな事を言い、価格を教えてくれた。

僕はもっと高いと思っていたので、電卓を取り出し確認する。

円高なのでなおさらお値打ちだ。

だけど安いといっても何万円ではなく何百万なので、今は両替が出来ていないから両替をして後日に迎えに来ると話すと、
おーと声を出し、EJAを抱きしめて、ついにあなたとお別れなの?と話し掛けている。

その光景は辛いが、必ず同じように大事にしてくれる人に引継ぎます。と心に誓う。

そして紅茶とクッキーを頂き、お人形達とご婦人に別れを告げ、バス停へと向かう。


すぐに連れて帰ればきっと泣き出しそうな感じだったので、帰国前日まで時間を空けて来よう。

もちろん今度来た時にやはり売りたくない、と言われたら諦めるし、
約束通り連れて帰れるとしたら、この3、4日間はお人形とのお別れをして、過ごすんだと思うと切ない気持ちになる。

でもいつかは別れる日が来ると以前に婦人が言っていた。

その別れを自分で見届けるか、知らないうちに終えるかと考えたら大事な子を自分で送り出したい・・・

人も物も縁でつながっていて、その奇跡的な縁を大事に、そして素晴らしい物にしていくのは自分しだい。

そんな言葉が頭に浮かびながら、バスに乗り、薄暗くなったウッドグリーンの森を駆け抜けて行く・・・


続く
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