アンティーク買い付け物語ツアーの実現を記念して、今までの買い付け物語を、店長日記から抜粋してまとめました♬ 順次ご紹介しますので、是非ご覧下さい♬
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☆アンティーク買い付け物語☆第12話☆

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前回に続き25歳の頃・・・

フェリーに乗り、1時間半ぐらい経ち、ようやく大きな船が動き出す。

船の中は夜ということもあり、仮眠してる人もいれば本を読む人などみんなおとなしく、静かだ。

船の大きな動力の音と波しぶきの音だけがこだまする。

ドーバー海峡は荒波だと聞いたことがあるけどものすごく大きい船なのでほとんど揺れない。

昼間だと気持ちがいい景色が広がっているんだろうなーと考えてるとまた睡魔に襲われて、眠りに入る。
波しぶきの音はとても心地いい。

そして今度もまた大きな音で目がさめると船は動いてなく、到着している。

周りを見渡せば人がいないのであわてて船を下りると電車がとまっている駅が見える。

ほとんどの人が席に座っていたので危うく寝過ごして乗り遅れるところだった。

窓際の空いている二人席がないので、4人席で隣同士で座っている若夫婦かカップルの前にお邪魔して座る。

イギリス人ならこんなときはにこりと微笑んでくれたりするが、微笑みかけても無表情で返される。

フランス人かな・・・

まぁ邪魔者だし仕方ないと思い、寝起きなので小腹が空いたし、今度はフランスパンをかじる。

すると座って3分も経たないうちに列車が動き出した。

日本と違いヨーロッパではアナウンスなどがないので、いきなり動き出すし、乗り換えなども自力で頑張るしかない。

車掌さんは親切に教えてくれるのでそれだけが救いだ。

前に座っているカップルは僕がパンをかじっているのをみてにやけている。

嫌味な感じで。

それともハングリーと言われたのを見てたのかな?

目を合わせるのが嫌なので、アンティークのオークションやフェアーなどの情報が載っている新聞を取り出し読むことにする。


僕は字を読み出すと大体20分も立てば催眠術にかかったように目が重たくなる。

なのでたまに眠れない夜は本を枕元で読み眠気を誘うほどだ。

列車の揺れと文字の催眠術にかかりまた眠りに入る。

そして人の声みたいなザワザワとした物音で目を覚ますと前のカップルが横においていた大きなトランクを運び出している。

降りるみたいなので、周りをみると約半分の人が隣の列車に乗り換えている。

もしかしたら乗り換えかも・・・

焦って、目前の愛想のないカップルの男性の方に英語でパリに行くには乗りかえらないといけないのか聞く。

するとトランクを持ち上げながら薄ら笑いを浮かべて何も言わない・・・

これはダメだ・・・

無視されているのか、フランス語しかわからないのかは知らないけど、
それよりもどうしようと考える余裕もなく、もう勘で決めようと思い、隣の列車をもう一度凝視する。

列車の上のパネルに小さい文字で北駅と書いているように見えたので、
行ってしまえーというノリで飛び降りてその列車に乗り込む。


乗り変えがあるなんて旅行社で教えてくれなかったし、チケットにも、もちろん書いていない。

これでいいのか不安なまま窓際の席に座ると列車が動き出した。

それにしてもあのカップルは・・・嫌なことを思い出す・・・


間違えていたらどうにか説明してまた引き戻せばいいよ、と自分をなぐさめる。

1時間ぐらい経つと車掌がやってきた。

やったー♪と心が軽くなる。

切符の確認なので、ようやく僕の番になり切符を渡すと何も言わず返してくれる。

北駅の文字を指しながらここに行けますよね?と聞くと笑顔でうなずいてくれた。

良かった。

安心して外を眺めると少し明るくなってきていた。

時計をみると4時過ぎだ。

あと1時間で到着だ。

確実に目的地に着くのでもう嫌な思いも忘れてあとは楽しみだけしかない。

イギリスと同じで農場の景色のような風景がうっすらと夜が明けかけている青の中でわかる。

これだけ嫌な思いや不安などを感じて移動することはないので、
アニメとはいえマルコはほんとうに偉くて立派な子供だなと思う。

それも三千里も・・・

宮崎アニメは昔とはいえすごく奥が深く子供の心の形成に必要な要素をたくさん含んだ作品を作っていたんだと感心する。

景色が青から朝日のオレンジに変わる直前の中にパリの都会の風景が広がってくる。


到着だ。


北駅を出ると、まだ地下鉄は動いていないのでタクシーを探し、ヴァンブーへと行き先を告げる。

クリニャンクールがパリでは一番大きくて有名だが、朝は遅く、ヴァンブーは朝4時ぐらいから業者が来ている。

パリのタクシーはロンドンタクシーとは違い普通車だ。

シトロエンかベンツが多くて、とにかく飛ばす人が多い。

ロンドンタクシーは大体がもっと早く行って欲しいと思うぐらいゆっくり進む場合がほとんどだ。

今回もシトロエンだが猛スピードで朝早く空いているパリの街を走り抜ける。


30分もしないうちに到着すると沢山の出店者や業者が集まっているが、9時頃に比べるとかなり少ない。

足早に店を見て周ろうとしたら、車から荷物を出した紳士とぶつかりそうになる。

かごを抱きしめていたので、それにもうすこしでぶつかるところだった・・・

良く見るとその中にはお人形が寝ている。

真っ白い洋服を着た可愛い子だ。

これも縁かもと思い価格を聞くととんでもない値段だった・・・

1000フラン・・・

1フラン20円として2万円だ!

パリはロンドンと違い、値引き幅が大きいので一応安くならないかと聞くと
次に出てきた数字はなんと700フラン・・1万4千円だ。

明るくなってきたので割れていないかを確認したが完品だ。

顔もとても可愛くて憂いのある表情をしている。

大きさも70センチはあるので、こんなに安い価格で買ったことがない。

ロンドンでは確実に10万は超える。

メーカーを確認するとユニスフランスという刻印が刻まれていた。

お金を取り出し渡すと、梱包も何もしてくれない。

というのは次々に椅子やガラス製品を車から出すと業者が沢山群がってきて、ほとんどが売れていくのだ。

英語を話す業者がいたので、凄いですね、と話しかけると、
この出店者は田舎から来ててパリ市内の骨董店が一番目当てにしている人で、
車の荷物の半分以上は売って帰る人気者だよと教えてくれた。

だからこんなに安いんだと納得する。

そして他の店を周りすっかり太陽も出てきて、骨董市も活気がでてくるが、他にはなにも買うものがない。


左手に食料品と一緒に入れているユニスフランスを抱えて、地下鉄へと向かいクリニャンクールへ移動する。

色んな思いをしてパリに来たのはこの子に会う為だったんだと心が弾み、地下鉄に乗り込む。


続く
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