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ホームエッセイ集☆パワー・アウテージの王女様☆
商品詳細

☆パワー・アウテージの王女様☆

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エッセイ集




5月のロンドン郊外

天使のハウザーの家に招かれ昼前に到着

パートナーのジョシュが家の門の中から優しく手招き

大きな音を立てて門が開く

200年もの間 何度この音が鳴ったのだろう

いや 最初は音などしないで 静かに迎えてくれたはず

僕は何人目?

錆だらけの鉄の門に問いかける

ジョシュがまた門を閉める音で返事をくれた


家の中に招かれると、ハウザーが扉を開けて出て来た

門が大きな音で知らせてくれた

外はロンドンらしく どんより雲で薄暗い

家の中は星空のような暗闇

ハウザーが 困った顔で 停電なの…

ジョシュも同時に頷く

庭でティーをしましょう

ハウザーの案内で木々を通り抜けると大木の下にテーブルセット

パートナードッグのリプレーが小さな身体を揺らせて飛びついてくる

抱き抱え 椅子へ腰掛ける

新緑の葉が薄い光を更に遮り肌寒い

リプレーの体温がカイロのよう

遊びに行こうとする手足をおさえて抱きしめる

ジョシュが大きなトランクを抱え 大木の下へ

横におろすと同時にハウザーがティーセットを持ちテーブルへ

寒い日に停電なんて

つぶやきながら紅茶を注ぐ

ティーカップに手を伸ばすとリプレーが隙をみて膝の上から飛び出る

仕草が可愛く ハウザーが笑顔を取り戻す

ピンクの王女様を見せてあげる

ハウザーの言葉でジョシュがトランクを開ける

綺麗なピンクの衣装が似合う少し横目の王女様

おひさまの光が薄いと 白さが引き立つお顔

パールのような白さに心が奪われる

家の中ではこの魅力を感じることはないはず


他にもドール達を出そうとするけど もう目に入らない

パワーアウテージの王女様

その圧倒的な存在感

ハウザーが王女と呼ぶにふさわしい

クリームチーズをたっぷりスコーンにつけて お皿に盛り付け

召し上がれ

ハウザーが笑顔でウインク

大好きなクリームチーズをペロリとすると リプレーが膝の上へ

カイロの手間賃をよこせと言わんばかりに スコーンを眺める

ハウザーが見ていない隙に一口あげると また膝の下へ駆け出す

王女様を見ると横目でおすまし

停電 パワーアウテージがもたらした 庭のひととき

この屋敷が出来た当初は電気などなかったはず

200年の時へ思いをはせる

昼は外でランチ アフタヌーンティー

もしくはガラス張りのサンルーム

夜はろうそくの暖かいあかり

パワーアウテージのアクシデントは心のゆとりをもたらす

便利な暮らし、日常の忙しさを忘れさせる

タイムスリップ 時の冒険へと招いてくれた

そして王女様とのご縁も

この素敵な時間をずっと忘れずにいたい

雲が厚く 黒くなると同時に雨が降ってきた

素敵な庭の時間もおしまい

雨音が終わりの鐘を鳴らす

リプレーを先頭にみんなが家の中へ

暗闇の中 ロウソクにあかりを灯す

ユラユラとゆれる火はみんなの顔を照らす

バースデーケーキを囲んだみたい

王女様を持って来た大きなカバンに大切にしまう

リプレーに別れの挨拶で抱き寄せるとホッペをペロリ

ハウザーは別れのキス

ジョシュは握手

また大きな門を大きな音であけてくれる

門さん さようなら

遠くの日本に パワーアウテージの王女様をお連れする

天使のように優しいハウザー

異国の地で 何度もピンチを救ってくれたのに その事実を語ろうとしない

何事も無かったかのように振る舞う姿

マネなどできない

いつまでも僕の天使でいてね

また訪れる日を願いながら 何度も振り返る

見えなくなるまで

さようなら 素敵な天使のおうち



サカイ ヨウイチ 記




☆こちらはエッセイ集です。
実際のお話しをエッセイでお届けしています。
写真の人形はもうお嫁に行っています。
お問い合わせはご遠慮くださいね。
しばらくは写真を掲載しますが、現在のオーナーに配慮して、時間が経てば消去しますので、ご了承ください。





































☆パワー・アウテージの王女様☆

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