アンティーク買い付け物語ツアーの実現を記念して、今までの買い付け物語を、店長日記から抜粋してまとめました♬ 順次ご紹介しますので、是非ご覧下さい♬
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☆アンティーク買い付け物語☆第64話☆

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2012年11月の買い付けのお話し・・・


今朝のロンドンは真っ青なブルーの空で爽快な天気。

先週の木曜日にロンドンに着いてから初めての晴天。

今日はドールオークション。

約20年間、ヨーロッパに買い付けに来てから、最初はパリからスタートして、今はメインはロンドン。

そして当初はオークションなんて入れずに、蚤の市などでガラクタを買うのがやっと・・・

15年程前からオークションに参加出来るようになり、
初めてのオークションはボンドストリートのサザビーズのドールオークション。

今でもドキドキするが、初めて行ったときはドキドキを通りすぎて、
ピーンと張り詰めた極度の緊張状態の気持ちのまま3時間を過ごし、ホテルに帰ってからグッタリした想い出がある。

ただ目当ての、透き通るような白い肌と澄んだ瞳の
ヘアラインのあるサークルドットブリュを落札できた感動は今でも鮮明にそのシーンが蘇る・・・

そしてその次はサウスケンジントンのクリスティーズのジュエリーオークションとドールオークション。

錚々たるロンドン市内のショップやディーラー、コレクター達とのバトルを繰り広げて来たオークション。

最初にサザビーズがドールが集まらないとの理由で撤退・・

そしてクリスティーズもそれに続き撤退・・・

不況とは逆で、買いたい人、需要はあるけど、物が集まらなければ終わりのアンティークの儚い世界・・・

10年程前から抱いてきた不安が的中した・・・

今、現存するだけの昔の物。

生産はもちろん出来ないので、今の数よりも増えることはない・・・

もし世界中から好きな人が沢山買いに来て、どんどん売れてしまうとすぐになくなる…

そして誰かのコレクションが放出されるまで減る一方のアンティーク達。

今回ロンドンに来るまでその事実は知らなく、カタログを購入したら、END OF SALEとの文字・・・

一瞬なんのことかわからず、担当者に確認すると、
今回でロンドンでのオークションは終わりになります・・ソーリィ・・・

ついに最後の砦も終わりが来た・・・

ここだけは1780年からの歴史があるので、
結局大手のサザビーズなどより、歴史のある所が最後まで残った・・と勝手に良い方に解釈していた・・

それだけにショックは計り知れない・・

タクシーを見つけて乗り込む。

普通なら時間に余裕があれば地下鉄で行くが、今日は無性に寂しさを感じて、軽快に歩く気がしない・・

そしていつもなら、行く前からドキドキして、何とも言えない緊張感、充実感、不安感などいろんな感情が入り混じり、
ワクワクして向かう道のりなのに、今回は全くそんな感情はない…

大好きなロンドンの素敵な車窓からの景色も楽しめない…

やはり長く続いて来た事が終わる瞬間を迎えるという時はこんなものなのかも知れない。

まねきねこは長い間、約23年間続けてきたけど、最初は古着&アンティーク リボンと言う名前でスタートして、
1960年頃のファッションを主に扱う古着屋さんだった。

今で言うビンテージショップ。

そして自然の流れでジュエリー、ドールに縁が出来てその専門店を目指して古着屋から変わって行った。

そしてそれと共にまねきねこに改名。

でもその時はまだ古着&アンティーク まねきねこ。

そして徐々に人形とジュエリーが増えて行って今の形になって行ったけど、
今でも古着はオリジナルのファッションなので好きだし、
この3つのアイテムは僕にとって生涯欠かせない物だと思って来た。

今日はその一つである人形の世界の一部が終わりを告げようとしている。

その瞬間を迎える事になるとは心の準備が出来てなかった。


会場に到着して、いつものように受付の女性に挨拶すると笑顔でハワイユー?と声を掛けてもらえた。

ファインと言って受付へ。

受付でカスタマーナンバーを知らせると今回は688番の札をくれた。

末広がりのナンバーで嬉しいが、やはり最後のオークションということで数が多い。

いつもは朝早いと300番台がほとんどだったのに。

そして時計の受付も頼むと、同時にエントリーをするのは珍しいので、ビックリされた。

時計の札は377番。ラッキーセブンだ。

受付をしているコンピューター管理の女性は普段通り明るい振る舞いでしてくれたので少し気持ちが楽になった。

最後のドールオークションだと言うのに、隣の部屋でアンティーク腕時計のオークションも開催される。

いつもは違う日で集中出来たのに、今回は同時開催とは・・・

今までに経験のないことだけど、まねきねこはジュエリー&ドールで長い間してきたので、これも運命かもしれない・・・

それも今回は素晴らしいエナメル、七宝とダイヤモンドなどをあしらった懐中時計が出品されている。

見たことのない色合いで、年代は1890年頃のフランス製で状態も素晴らしく良い。

もし目当ての人形とこの時計が同時にスタートしたらどちらが優先になるか・・・

こんなことを真剣に考え出していたら、今朝の感傷的な気持ちから、
どうやってこの両方のオークションをこなして行くか・・に気持ちが支配されて頭がフル稼働を始めた。

もう一度それぞれの目当ての物をチェックして、スタート時間と、ロットナンバーをチェックしていく。

まずは時計の部屋に行き、最終チェックをする。

エナメルの懐中時計は裏表紙に載っているのと中に写真がある2つは何とか欲しい・・

裏表紙のはきっとかなりの高値が予想される。

というのも、お金持ちそうな紳士が、並んで順番に見せてもらっているから・・

みんな手にとってルーペを取り出し、見る度に、
エクセレント!ビューティフル!などと歓声をあげている。

自分の最大の予算を手帳に書き、ここまでは頑張るけど、これ以上は諦める、という線引をしていく。

落札価格だけではだめで、それに手数料が30%もかかる。

はじめて来た人がそれを知らずに落札して、地下の精算場で、
オーマイガット!・・・とうなだれているのを何度も見たことがある・・

10万円で買えた!と喜んで精算したら13万円です、と言われたらかなりのショックだ・・

そのあたりも計算して、時計の部屋では12点の素晴らしい時計をリストに入れた。

そしてドールの部屋へ。

すぐ隣と言うのは不幸中の幸いだった。

ここは2階だけど1階もあるし、部屋が沢山ある。

上下での移動のオークション参加はまず不可能だ。

人形ではいつもならクリスマスオークションなのでファインドール、
と書かれて沢山出るのに、今回はこの時期では初めて、とても少ない数の人形しか出ていない。

やはりこの事実そのものが、今回で終了することにつながったのだと思う。

いつも明るくない表情のニコラス・ゲイジ似のドール責任者の顔が、さらに暗く感じる。

暗い表情でハロー、と来たのでこちらも暗い表情を返して、ハローと言ったら、明るい女性の担当者がそれを見て笑っていた。

僕もおかしくなって笑っておどけるけど、ニコラス・ケイジの顔はピクリとも動かない。

クールで紳士な、正に英国ジェントルマンだ。

それに比べて僕は吉本が本場の関西人。

笑いのほうが性に合っている。

そして目当ての人形の元へ行き、今回の一番のお気に入りのブリュRちゃんを最初に見せてもらう。

やはり表情がとても素晴らしい。

ブリュ・ジュンと違って、ブリュ・ジュンRは不思議な人形だ。

ジュンは大体表情なども統一感があるけど、Rちゃんはいろんな表情を見せてくれる。

今回の子は小さいけど、生きているような表情にブルーの素敵な衣装。

この子は絶対に欲しい、と二重丸と予算を書き込む。

そして次は真っ青な光沢の素敵なドレスを着た小さいジュモーなど・・・

トータル11体の人形をチェック。

次はテディベア達を見る。

僕の好きなボンゾーの巨大な子が出ているのでもちろんチェック。

ファーネールのドレスベアもなんとも可愛い。

テディベア類は5体。

そして部屋の中のテーブルセットに行き、椅子に座り、シュミレーションをする。

いつもならいらない作業だけど、同時進行なのでしておかないと両方共落札出来ない、と言うことになりかねない・・


まずは時計は最初に懐中時計から始まり、腕時計へと移行していき、年代がどんどん新しくなっていく。

僕は昔のしか興味がないので、中盤までが勝負だ。

順番に大体1つの時計に2分かかるとして
目当ての時計が25番なので40分から50分ぐらいに必ず来ないと行けない。

そしてドールでは最初にテディベアから始まり、ドールハウス、19センチュリードール、ビスクどールへと繋がっていく。

目当てのファーネールは15番なので20分には必ずいないと。

こうして照らし合わせていくと、どうしても際どい時間帯がある。

その時はもう行き当たりばったりでないと仕方がない。

最後のドールオークションを目に焼き付けようと昨夜から考えていたけど、
この忙しさではアッと言う間に終わりそうな気がする。

シュミレーションを終え、時計を見ると11時過ぎになっていた。

今日のラッキーフードはパスタとピザだ。

確か会場の外の大通りにイタリアンがあった記憶がある。

2冊のカタログを手に持ち、オークション会場を後にする。

これからどんなドラマが待っているのだろう・・

泣いても笑っても、今日でロンドンでのドールオークションは長い歴史を終えて、もう二度と開催される事はない。

その事実を心に刻み大通りに出た。

続く。
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