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☆アンティーク買い付け物語☆第63話☆

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僕が33歳の頃の話しの続き…

海の見える坂を下って行くと、白亜の洋館の前でピーターが腕組みをして立っていた。

僕の姿をみると安心したような顔をしてハロー!と挨拶。

さぁ、とにかく中に入って、と中に案内される。

玄関の素敵な門の中に入ると真っ正面に金色の螺旋階段がピカピカ光っている。

圧倒されていると、ピーターが、その螺旋階段を登って行く。

上が会場だよ、と話しながら上がる。

螺旋階段は余分に時間がかかる気がするし、なかなかしんどい…

そしてようやく2階に着き、扉を開けてもらうと、何と30人以上の人達がいる。

みんなそれぞれの自慢のベアを抱えながら。

日本では見ることのない光景を目にして、
やはりベア文化は日本よりも英国、ヨーロッパの物なんだと感慨にふけってしまった。

すると知らない男性に、君はその釣竿でベアを釣りに来たのかい?と真顔で言われた・・

僕がきょとんとしていると、ガハハと大笑いをした。

ネタにされたんだ・・

でも確かに、みんなはベアを抱えているのに、僕は釣竿とリール、毛針を持っている。

せめてさっきの木馬を持っていたら少しは恰好がついたかもしれない。

ピーターが自分のベアを抱えて戻ってきた。

僕がベア釣りに来たのか?と言われた事を話すと、ピーターも大笑い。

それは面白い!と言ってまだ笑っている。

するとあまりに笑うので、さっきの男性がまた戻ってきて、
この青年は日本からベアを釣りに来たのだよ!と大声で言うとみんな大笑い・・

もう恥ずかしさを通り越して、僕が竿を持ち上げると、
コメディの音声の笑いのようなオーバーな笑いがドッと起きた。

ロンドンのテレビではコメディドラマがチャンネルを変えると必ずどこかで放送しているが、まさにこんな感じだ。
日本で言うと奥さまは魔女とかのような。

ピーターが、まだ笑いながら、もう君を紹介する必要はなくなったよ、と笑いながら話した。

ここに集まっている人は、世界的に有名なコレクターもいれば、ただ好きな人など、
とにかくベアを心から愛していて、生活の中心にはベアがいる、と言う人ばかりで、
またみんな仲良しばかりがどんどんふくらみ、この人数が年に3回集まるようになったんだよ、と教えてくれた。

しかし君はそのベア釣りを計画してきたのかい?と言ってきた。

来る途中で偶然出会ったんです、というと、それは偶然で物凄い掘り出し物になったね、と笑いながら話す。

すると、マイクの、ピーッと言う音がして、レディース&ジェントルマン!と司会の人が挨拶を始めた。

ピーターは、小さい声で、君が始まる直前に盛り上げてくれたから、
今日はきっと大盛り上がりの一日になるよ、とウインクをした。

なんだかこれでいいのかわからないけど、盛り上がったし、みんな楽しそうなのでこれで良かったんだ。

まさかの出会いのハーディーと、おじさんに感謝!

蝶ネクタイをつけた若い男性が、
トレイに沢山のシャンパングラスに注がれたゴールドのシャンパンを揺らしながらみんなに手渡している。

そして会長の挨拶の声で乾杯!ベア交換会が幕を開けた。

すると、一人、また一人と僕に話しかけてくれる・・・

名刺をくれる人もいて、まるでスターになった気分だ。

ベアとの出会いを期待してここまできたけど、こんな出会いが待っていたなんて・・・

一人一人と握手をしながら、出会いは面白い、と心が躍る。

名刺をまたもらった次に、婦人がこちらに来て、小さいベアを買い物籠のような物に、
お花のように入れている中から、真っ白なベアを抜き取り、あなたにプレゼントよ!と手渡してくれた。

持ってみると重い、これはおそらくシュコのミニチュアベアだ!

こんな高価な物をもらってはいけない。

僕があわてて返そうとすると、ピーターがその手を止めて、あの婦人は名家の有名な方で、
あの花篭にいつもミニチュアベアを入れて来るんだけど、
プレゼントなどしたのは見たことがない。だからもらっとかないとダメだよ!と耳打ちした。

まさかの展開に戸惑うが、ピーターの言うことを聞いた方が良さそうだ。

改めて良く見ると、真っ白な毛並みで、目は黄色のグラスアイ。口がへの字になっていて面白い顔をしている。

来る前にヘンテコリンなベアとの出会いがあれば・・と考えていたけどまさにヘンテコリンだ。

僕が嬉しそうにしていると、婦人がウインクをしてくれた。

僕はサンキューとお礼を言うとさらにウインク。

そしてベア籠を抱えて交換するベアを探しに人の輪へ向かって行った。

本当に楽しいベア交換会。

みんな楽しそうに嬉しそうに話をしたり、真剣な眼差しでベアをチェックしている人・・

ピーターはとても素敵な場所に呼んでくれた。

ピーターもベアを求めて人の輪に入っていった。

ありがとうピーターと心の中でお礼を言って、白くて小さいベアをポケットにしまいこむ。




続く
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