アンティーク買い付け物語ツアーの実現を記念して、今までの買い付け物語を、店長日記から抜粋してまとめました♬ 順次ご紹介しますので、是非ご覧下さい♬
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☆アンティーク買い付け物語☆第62話☆

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僕が33歳の頃のお話・・・

ブライトンへ到着すると、塩の香りがした・・

やはり港町。

そしてロンドンではずっと曇り空だったのに薄く太陽の光がさしている。

久しぶりに清々しい気持ちになった。

ピーターの説明だと駅を出てそのまま真っ直ぐに歩いていき、
坂を下ると白い4階建てぐらいの建物があるから、すぐにわかるとのこと。

そこでの初参加のテディベア交換会。

ワクワクもするが、場違いになり浮いてしまうかも・・との不安も。

時計をみると開始時間まで40分はある。

坂を下るとそこには今まで見たことのないような素敵な景色が広がってきた。

100年から200年前の素敵な煙突のついた建物が点在して、緑も多く、その下には深いブルーの海。

頭に映画音楽が流れてきた。でもここはイギリスなのにアランドロンの昔の映画の音楽が・・

その景色に見とれていると、その中心ぐらいに真っ白な白亜の洋館がある。

きっとあそこだ!

無事にたどり着けて安心もするが、映画の主人公になったような気分でこの素晴らしい景色に酔いしれる。

また歩き出すと、素敵なカフェ、教会などがあり、どれも素晴らしい。

そしてその先にはANTIQUESの看板を掲げた店がある。

右を見るとそこにもあり、いわゆる骨董街のようになっている。

左をみると、そこの店先には白い木馬が置かれていて、なんとも味のある雰囲気を感じる。

その木馬は尻尾がおそらく本物の馬の毛で、身体はまだらな黒い模様がありとても素敵。

木馬を見ていたら、中から店主が出てきて、フレンチの1920年頃の物だよ!と説明してくれた。

価格はついていなかったので、聞くと50ポンド。

1万円ちょっとでかなりお値打ちだ。

ただ持って帰るにはかなりかさばる・・

そのあたりを考えながら店の中に目を向けると、古い大工道具や農機具、船のランプなどが置いてあった。

そしてその奥には釣竿らしき物も見えた。

釣竿などはロンドンではなかなかお目にかかれないので、
中を見せてもらっても良いですか?と聞くとオフコース!と笑顔でドアを開けてくれた。

そして釣竿を見ると、かなり古そうで木の味わいが良い感じで出ている。

店主のおじさんが、それはハーディーの1920年頃の珍しい物だよ!と自慢げに話した。

僕もだが身内に釣り吉がいて、イギリスで、昔のハーディーを見つけたら是非買ってきてほしい、と頼まれていた。

ロンドンの蚤の市やマーケットではいくら聞いても出会ったことがなかった・・

こんなところで出会うなんて・・ハーディーはイギリスが誇る名品で歴史も一番古いが、
素晴らしい使い心地で、世界的に人気があり希少価値が高い。

23才の時に初めてヨーロッパに来て、それからずっと頼まれていて、10年が経ち、ここで出会うとは。

価格を聞くと、君はハーディーを知っているのか?と聞かれた。

僕は、もちろん知っているし、前からずっと探していました、と話すと、日本人でハーディーをわかる人間に初めて出会った!と大喜びしている。

君なら特別に150ポンドの所を90ポンドにしてあげるよ!と言ってくれた。

日本では竿は知らないが、リールは10万円以上はすると聞いていたので2万円弱ならまさに掘り出し物だ。

店主は、オリジナルの布製の袋もついているし、リールも1点だけあるよ、と見せてくれた。

美しく銀色に光る丸いリール。

これはビクトリアンだよ、と手に持たせてくれた。

しっかりと1889年の刻印も入っている。

気に入ったならこれも同じ価格にしてあげるよ。

信じられない・・・僕は即答して、メニーサンクス!と握手を求めると、抱きしめてくれた。

これはね、僕のおじいさんが使っていて、これでどれだけの大物を釣り上げてきたか、
数知れない・・素晴らしい名品なんだよ・・懐かしそうに話す。

おじさんはおそらく50から60代だと思うので、まさに受け継がれてきた釣り道具。

僕は上手くなくてね・・これでキングサーモンなど釣ったことないんだよ・・

最近はしなくなったし、そろそろ処分と思い先月に店に出したばかりだよ。

縁があったんだ!

本当はここには来る予定がなかったのに・・・ピーターに誘われていなければ・・

出会いは不思議だけど導かれる何かがあるような気がする。

店主に、日本ではキングサーモンは難しいけど、親類で、イワナという幻の魚の70cmもの大物を釣り上げ、
魚拓を部屋に飾っている人がいます、と伝えると、それはフライで釣り上げたのか?と聞くのでもちろん!と答えると、
店の奥に行き何かゴソゴソと探している。

あったあった!と古そうな木の箱を取り出し、この毛針でおじいさんは大物を釣ってたんだよ。

これもあげるから、日本で大物を釣り上げてくれ!と言ってくれた。

中を見ると、カラフルな色が様々な形で虫に似せられた毛針が50個は入っている。

こんなに素晴らしい物までいただいていいんですか?と聞くと、ノープロブレム!と飛び切りの笑顔で答えてくれた。

感動していると、君自身もフライはするのか?と聞かれた。

僕はエサ釣りがほとんどでフライはまだしたことがないので、これをきっかけに親類に教えてもらいます!と答えると、
フライは一番面白い釣りだからする価値はあるよ、と言ってくれた。

お金を渡し、外に出ると白い木馬と目が合った。

手に持った竿を見せて、荷物が増えたし、また今度来て君がいたら日本に連れて帰るからね、
と心の中で声をかけて店主と木馬にサヨウナラ。また必ず来ますね。

テディベア交換会の前に素晴らしい出会いが待っていた。

時計を見ると開始時刻まであと15分。

足早に白亜の洋館を目指し歩き出す。

素晴らしい店主のお店を振り返り見ると、おじさんが手を振ってくれた、
見送ってくれていた・・心がジーンとしながら手を振り返す。

本当にまた必ず来ますからねー。

心の中で固い約束を交わし、目の前に広がる青い海を見ながら坂を下る・・・


続く。
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