2012年5月の買い付けの話の続き・・・
素敵なスペインのディーラーと別れてホテルへ帰り、すぐに地下のダイニングへ向かい、朝食を食べる。
高熱と頭痛、顔の痛みはあるけど、食欲はある。
渡英前に出血性大腸炎になり全く食べれなかったのに、
空気攻撃での見事な回復後の翌日から、いつもの大食に戻り、まるで取り返そうとするように沢山食べている。
今朝もコーヒー、オレンジジュース、食パン4枚、コーンフレーク、
卵、豆、ベーコン、目玉焼きを食べると、少し横になりたいのですぐに部屋に戻る。
風邪などの症状とは違い、おそらく副鼻腔炎の菌が顔面に広がっているようでものすごく痛い。
そして熱も39度以上あるのでやはり、しんどい。
まだ食べれるのだけが救いだ・・
でも何とか週明けまでは頑張り、月曜までに良いドクターを探し、月曜の朝には病院に駆け込もう。
そのまま眠ってしまい、ドアをノックする音で目が覚めた。
ソーリィー、スリーピング・・というとメイドの女性がOK,OKと言って他の部屋へ行った。
もう10時を過ぎているが、頭がどーんと重くなかなか起き上がれない・・
出遅れるとこの後が大変になるので何とか頑張らないと。
気合で起き上がり支度をして出かける。
今日はまずはジュエリーコレクターと会う約束がある。
オークション会場で出会い、それ以来素晴らしいジュエリーを分けていただいている。
今回はどんなに素晴らしい物を見せてくれるのか。
タクシーに乗りながら出来るだけ楽しみなことを考える。
そうすると痛みがましになる気がする。
そして到着すると、相変わらず元気で素敵な笑顔で迎えてくれた。
僕がマスクをしているのでびっくりして、どうしたの?と聞かれた。
こちらでは、マスクをしている人は全くいなくて、大きな駅などでも一人もいない・・・
以前にサーズが流行した時や、インフルエンザなどの流行でもマスクをする文化がないので誰もしていなかった。
花粉症なども少ないのかほとんどみないので、僕がマスクをして歩いているとみんなにジロジロ見られた。
特に子供は不思議そうな顔をしてなんであんな被り物を大人がしているんだろう?みたいな表情をするので面白い。
なのであまりしたくはないけど、すると鼻の痛みが少しましだし、
鼻が出てもすぐにふかなくてもいいので、これは外せない。
具合が悪いことを伝えると、それは大変だから、
すみやかにお見せして、早く休まないと、と急いでコレクションを見せてくれた。
黒いジュエリーケースから出てきたのは、珍しいVゾーン型のダイアモンドとパールのネックレス、ピアスセットだ。
とてもゴージャスでいて品がある。
その次に見せていただいたのは大きな真珠がついた、アールヌーボーのリング。
綺麗な七宝が金にまかれていて、淡い色で装飾がされている。
昔にオリンピアで見たことのありそうな素晴らしいリング。
それぞれ価格を聞くと意外とお手頃だった・・
僕の体調の悪さに価格を下げてくれたのかな?
価格を確認すると、もうそれでいいから、気に入れば早くカバンに入れてホテルに戻りなさい、と言ってくれた。
そして、もし病院のあてがないなら、このドクターは僕の主治医だし、
ロンドンでも有名な先生なので尋ねるといいよ、と名刺をくれた。
ありがとう、と言って別れてタクシーに乗り込んだ。
みんな優しい。
このままなら何とか週明けまで頑張れそうだ。
ボンドストリート、サザビーへ!と伝えてオークション会場へ向かう。
ジュエリーオークションの下見が始まるが12時までなので急いでもらう。
今度はどんな出会いが待っているのだろう。
痛みを出来るだけ忘れて素敵なアンティーク達との出会いを楽しみにピカデリーの交差点をタクシーで走り去る・・・
続く