アンティーク買い付け物語ツアーの実現を記念して、今までの買い付け物語を、店長日記から抜粋してまとめました♬ 順次ご紹介しますので、是非ご覧下さい♬
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商品詳細

☆アンティーク買い付け物語☆第50話☆

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僕が37歳の頃の話しの続き…

素晴らしいダイヤモンドとパールのブローチを手に取り、
眺めている間も全員が僕に注目していて、変な緊張が走る。

でもそれを忘れるぐらいに素晴らしいブローチ。

八角形のような形で、細かいダイヤモンドが散りばめてあり、
ナチュラルパールが真ん中と8隅に綺麗に配列されている。

裏を見ると、今では再現出来ないような繊細な細工。

これだけの物ならかなり高価かもしれない。

オーナーらしき眼鏡の男性に価格を聞くと、ディーラーですか?と聞かれたので、
イエス!と答えると、机の引き出しからピンクのノートを取り出し、
チェックをして、エキスパートプライスで3500ポンドで良いよ、と言われた。

約70万円。商品からすれば妥当な価格だけど、僕の予算では少し足りない。

見た瞬間から3000ポンドまでならいいなと頭に浮かんでいた。

僕がサンキュー、と言ってブローチを返すと、オーナーが価格が合わないのか、商品がもう一つなのかどちらですか?と聞いてきた。

とても素晴らしいブローチで、一目惚れですが価格が僕には合いません…

するとオーナーが、他の男性スタッフ達ともう一度ノートを見ながら相談しだした。

本当にみんな仲良しなんだ。

小さい声でヒソヒソと話しているが、みんな優しそうな表情を浮かべて、真剣な眼差しで相談している。

そしてオーナーが、会議を終えて僕に、あなたのご予算はおいくらですか?と言ってきた。

僕は駄目もとで、2800ポンドでしたら今すぐに頂きたいです、と伝えると、またみんなで相談タイム。

そしてオーナーが僕に、キャッシュですか?と聞いてきたので、もちろん!と言うと、黙って僕に握手を求めてきた。

握手をすると、コングラチュレーション!と飛び切りの笑顔で返してくれた。

僕が笑顔でいると、他の男性も一斉に拍手をして、コングラチュレーション!と祝ってくれた。

なんか、誕生日会みたいだ…嬉しい。

そしてお金を渡すと、綺麗にラッピングしてピンクの可愛いケースに入れてくれた。

君はきっとまた訪ねてくれるだろうと思い、皆で相談して、今回は君の言い値でお譲りしようと決めたんですよ。

ロンドンでこんな事は言われた事がないので、とても嬉しくなり、
必ず毎回お伺いします!と約束して外に出ようとすると、一番大きな身体の男性が、サッと外に出て、ドアを開けてくれた。

みんな凄く優しい。

僕は日本でもニューハーフの人に世話になったりすることが多くて、
その度に、女性と男性の両方の心を持ち、
女性よりも女性らしい乙女な存在なんだな、といつも関心していたけど、海を越えたロンドンでも同じなんだ。

尊敬する美輪明宏さんもそうだし、美輪さんがよく歌うシャンソンでエディット・ピアフの愛する権利、と言う曲で、
男と男が、男と女が、女と女が、年寄りと若者が、異国人同士が愛し合っても、人間同士が愛し合うことに変わりはない、
殺した訳でも、盗んだわけでもないのだから・・
人は誰でも幸せになる権利がある・・・という歌があり、頭の中で美輪さんの声が流れる。

でもあれだけ皆が仲良しで一緒に仕事が出来て、もし一緒に暮らしているなら楽しいだろうな。

淋しさなんてないだろう。

そう思いながら後ろを振り返ると、みんなで手を振ってくれている。

とても素敵で心地よくなるチェルシーのおかまの館。

階段を降りてキングスロードに出ると、
チェルシータウンホールに夕陽があたっていてとても綺麗なオレンジ色になっていた。

きっとまた仲良しのみんなに会いに来ますね。

そして信号待ちでピンクのケースからブローチを取り出してみると、夕陽にかざしてもとても綺麗に優しい光を放っている。

みんなの優しさが詰まったブローチ。

日本に行って、誰の物になり、その優しさが伝わるのだろう。

きっとこうしてアンティーク達は人から人へ受け継がれて行く。

館のおかげで僕にも優しさが伝染したみたい。

さようならチェルシーアンティークマーケット。

また必ずくるからねー。


続きは次回にお送りします。
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